カテゴリー: 2023年

  • 感謝の一年 【12月】

    ありがたき 今日(けふ)の命の 明るさを

    ほのかな人に ただ恵まれて

    偉・美韻宮

     この短歌は、この1年(実は10か月足らずですが)私たちは、仕事と人に恵まれて、忙しい中にも心を失くさず、楽しめましたことを、歌としました。

     本当にありがとうございます。

     仕事が真の意味において、知事になり、仕事のレベルが少し上がったかなあと思います。

     その感謝の思いをわざと季語なき短歌に詠みました。

     今、仕事はどんな分野の専門性を持ったものでも、SDGs17項目のウエイトが異なるとしても、どの項目についても目配りが必要です。

     また、いろんな要素を組み入れれば入れるほど(もちろん入れ方もありますが・・・)仕事のふくらみとパフォーマンスが上がるのではないでしょうか。

     今年のエポックメイキングなことは、私たちにとって主要プロジェクトであり、社会的価値も高く、やり甲斐もある仕事を委ねていただいたことです。

     そして、その仕事をパートナーシップ(Goal 17)というキーワードで組み立てられたことです。

     パートナーとなっていただいたのは、いろんな機会に協働している信頼できる人々と、古くからの友人や当組織の理事であったりで、それらの人々とパートナーシップを築き、挑戦ができていることが喜びです。

     ここで少し、パートナーの仲間たちを紹介します。

     ホームページ管理・制作関係は、九州在住の若手IT企業家と、大都市幹部職員OBの方にボランティア協力いただいています。

     デジタルを活用した地球の未来を見て感じることのできる(難しく言うと拡張現実-AR-)教育を、小学生を中心に学んでもらうARの指導員として、システムエンジニアを経て、パソコン、スマートフォン等をやさしく学べるパソコンボランティアの方々に。

     また、未来の車、水素カーの普及・啓発には、大学の非常勤講師や彼の教え子の方々が、ツイッター(X)等の発信も含め手伝ってくれています。

     このように、お願いする人々はとても幅広く、いろいろな分野のエキスパートの方々です。

     そして、私たちに最も近い友人や、当団体の理事や関係者、学生の恒常的なボランティアの方々は、12名ほどがコラボレーションしてくれています。

     あわせて総勢20名を越す方々が、専門性の発揮や、新しいことに取り組む機会を楽しんでいただき、その上、自己実現にも活用いただくというwin-winを狙いとしています。

     みな様、ほんとうにありがとうございます。

     私は、働くということを、他者とのつながりの中で、自分の人生を歩み、人間として成長し、成熟していくことだと思います。

     そして、パートナーシップで仕事をすることで、みな様と一緒に成長したいのです。

     良い人生とは、仕事抜きでは語れないです。

     まだまだ、残る四半期にこそ、最高の力を発揮し、良い仕事を創ろうではありませんか。

     良い仕事は、人生を豊かにしてくれますし、周りの人たちにとっても、社会の人々にとっても、楽しさや新しい成功体験等で、人生に夢と希望を少しでも増やすことができるなら、それは最高の喜びです。

    理事長 井上健雄

  • 良い仕事の系譜(その2)-前月の挨拶の質問を受けて- 【11月】

    前月(R5 10/15発行)の「良い仕事の系譜」について、質問を受けたので補足をします。

    10月

    現代の雨乞いは、飛行機を飛ばし、雲を捜し、黒雲の中にヨウ化銀(×ヨカ化銀 間違っていましたごめんなさい)を噴射させ、雲を育て・・・

    ・・・暑さ対策として二酸化硫黄(SO2)で太陽光を遮断しようとする試みである。・・・

    ◎コメントとして、こうした行動、は神をも恐れないジオエンジニアリング行動であり、地球がガバナンスする長(ヲサ)もいないのに、と書いたことに対して、

    質問:たかがこれ位の取組みに対して、科学技術を信じない考え方じゃないか。

       「ジオエンジニアリングとか訳の分からないことを言って」・・・神をも恐れないとかの表現は、「空が落ちてくるって心配した杞の国の人みたいですね。」

     こんな意見をいただきました。

     言われればおっしゃるとおりかもしれませんが、「私の真意をもう少し説明した方がよかった」と考え、今回は10月の挨拶の質問を受けてとしました。

     〔ジオエンジニアリング対応について〕

     今の温暖化の進行速度はあまりにも早く、地球というグローバルコスモスのバランスを支える9つのサブシステム特定し、今地球にどれ位の余力があるというものを示す、プラネタリーバウンダリーによると、生物多様性は、ここ20年で68%を喪い(地球環境レポート2020年より)としているし、窒素生産においても、限界値4,400トンに対し、1憶5,500に達していたりと、悪化の速度が速まっています。

     地球は、46億年の歴史の中で、今まで5回の生命の大量絶滅を経験しておりますよね。

     そして、今の人為的要因による地球温暖化は、地球の生命を大量絶滅させる可能性が高く、「第6次生命大量絶滅」の原因になるのではないかと言われています。

     それも、5次の生命大量絶滅の原因であった隕石ではなく、私たちの生活やそのライフスタイルこそが、その原因になろうとしています。

    そして、貧しい国の人々も良い生活を願っておりますし、しかるに、自分たちの責任ではない温暖化被害として、生活の場を破壊しかねない海面上昇や、降雨の変調による作物の不作にまで、見舞われだしているのです。

    こうした時、温暖化の窮余の一策として、登場するのが冒頭に述べたジオエンジニアリングでなかろうかと、思うんです。

    そこで、自然現象のピナツボ火山爆発に伴う諸々の温暖化低減について、追記します。

    1991年4月2日フィリピンにあるピナツボ火山の鳴動が始まり、2か月後の6月15日に大噴火しました。

    この大噴火で、灰、岩、溶岩が流れ出し、周辺地域を覆い尽くし、その上同じ日に台風(Yunya台風)までが上陸したのです。

    この噴火、洪水により、フィリピンの人々20万人以上の家庭を破壊し、地球の温度は、一時的に0.5度下がり、人為的な地球温暖化の影響を一掃させたのも事実なのです。

    この時ピナツボ火山は成層圏に2,000万トンほどの二酸化硫黄(SO2)を注ぎこんだのです。

    これは、この時まで、人類が大気層に蓄積させた二酸化炭素5.850億トンほどを、相殺する効果もあったのです。

    この二酸化硫黄は日陰を作り、数年間にわたり太陽からの輻射を2~3%暗くしてくれたのです。

    これは良かったといえるかもしれません。

    その一方で、成層圏のオゾンの水準を低下させ、南極上空で見られるオゾンホールを創り出し、オゾン枯渇さえ起こしたのです。

    また、この火山噴火は、乾燥期のはじまりに一致もしているのです。

    この大噴火が、恐ろしい状況を連れてきたとも言えるのです。

    再度温暖化に戻りますが、高緯度に暮らす人にとって、数度温かくなることはそう悪い話ではありません。

    IPCCの主張する「温度1.5℃上昇に抑える」という目標は、すべての人が納得したものではありません。

    「今日の温度でいいじゃないか」と人は言います。

    これを書いている私の今日は、11/8 立冬です。樹木へのこも巻きが始まり、啓蟄まで巻かれていることになります。でも立冬なのに、昼下がりは22℃を超えています。

    虫さんは、越冬より暑くて蒸しあがってしまいますよ。

    立夏より暑いくらいです。

    「一人ひとりにとって正解が異なる適温コントロールをどう考えるか」

     これが、地球の大課題です。

     だから、地球長(ヲサ)が、ガバナンスする体制なしに、温暖化の緊急対策としてジオエンジニアリングに挑戦すると、「〇×火山の爆発誘導がよいとか・・・」の意見になりかねません・・・。

     地球全体の為にどうあるべきを考え、対処できる人や、組織立てや、歴史や、気候の深い分析なしに、突き進むことは、逆に地球の破壊を招く可能性もあると、申し上げたいのです。

     こうした考え方のもとに、正しいソリューションを創り出そうとしているひとこそ、現代の良い仕事の系譜の人になるかと考えます。

    こういった人々が、いろんな局面においてリーダーシップを発揮できる社会をみな様とご一緒に築いていきたいのです。

    理事長 井上健雄

  • 良い仕事の系譜 【10月】

    人類は基本的な社会構造である集団をつくり、生活を営んできた。

    集団にはリーダーがいた。

    それらは集団の中で、戦さに強い者だったり、年長者で作物の育て方等に詳しいものであったり、異能をもって予言をしたり、病気を治したりするシャーマンのような人々であった。

    それらを統括するリーダーが、長(ヲサ)と呼ばれ、長(ヲサ)は、いろいろ迫りくる危機に、それぞれの異能者を中心に対処していたのである。

    例えば、雨が降らない時に、シャーマンは、白装束に髪を振り乱して雨乞いの呪文を唱えたものである。

    降れば、村の祝祭日とし、日々の苦労を忘れる日としたのである。

    降らなければ、長(ヲサ)がシャーマンの努力を讃えた上で、今を生き延びる為に溜池を持つ大富農の水を、村人に配分する提案を出したりする、智慧を持っていた。

    これらは、現代も変わらない。

    危機毎に政治のリーダーがそれぞれの専門の省庁に解決を委ねて行われている。

    しかし、この対応は、いささか部分的にならざるを得ない。

    現代の雨乞いは、飛行機を飛ばし、雲を捜し、黒雲の中にヨカ化銀を噴射させ、雲を育て、雨粒をつくろうとしている。

    ここには、地球長(ヲサ)がいない。

    「降雨を作る」のような「神を操る」ことは、地球から逆に手痛いしっぺ返し等を考えていない。

    米海洋大気局のカレン・ローゼンロフ研究主幹なども心配している。

    その上、暑さ対策として二酸化硫黄(SO2)で太陽光を遮断しようとする試みもある。

    ハーバードやコーネル大学が取り組み始めている。

    このような、人為的に気候に介入する技術をジオエンジニングと呼ぶが、まだまだ断片的で地球のガバナンスができるものではない。

    黒雲づくりや、太陽光遮断は、科学の粋かも知らないが、私はシャーマンの行為を否定しない。

    だって村人すべての総意で動き、駄目な時の対策を長(ヲサ)が用意して、村人の意見集約に成功していると思うから。

    良い仕事の系譜としての、雨乞いのシャーマンと長(ヲサ)に対し、現代の雨乞いや温暖化防止の活動師について触れた。

    私は、今のレベルではシャーマンや長(ヲサ)に、拍手したい。

    なぜなら、試みに対し失敗もあるとし、試み活動の実をあげる方策も準備し、情報の共有化を企っているからである。

    シャーマンや長(ヲサ)ばかり誉めていると、時代遅れと思われるので、最近の技術を活用した良い仕事を紹介する。

    ロビー君である。

    ロビー君は、ローマ近郊のサンタルチア財団病院で、リハビリを担当するらしい。

    彼は、患者と会話したり、色や文字あてレクリエーション等もできる。

    彼はヒューマノイド(人型ロボット)で、AI搭載の学習能力に加え、優しくまばたきしたり、ゆっくり話してくれるのである。

    これは、一つの朗報となるだろう。

    彼はリハビリを担当し、稼いでくれるのだから、たぶん所得税など払ってくれる仕組みを構築できれば、大助かりではないか。

    あの新分野への評価の辛いゴールドマンサックスさえ、2035年、ヒューマノイドの市場規模は、23兆円以上と予想している。

    これが良い仕事の系譜の一つになるかもしれない。

    良い仕事の為には、当然抑えるべきポイントをモデル化し、自分の法則を確立すべきである。

    これについては、今後展開したいと考えている。

    理事長 井上健雄

  • 残暑に八つ当たりしながら・・・ 【9月】

    この夏の残暑は異常だ。

    九月九日は、私の好きな長陽の節句である。

    本来の長陽の節句は、長い夏の暑さを終えて、少しづつ秋の入口の日に、酒に菊の花びらを浮かべ飲めば、健康回復と長寿に資する、ということで大事な日である。

    私はいつも日本酒を熱燗にして菊の花を浮かべ、この風流に親しんだものだ。

    しかるに、この暑さは風流に程遠い。

    まず、菅 茶山の詩を自己流に解釈し、節句を皮肉ってみよう。

    (1)酩酊して佳節(仮説)に酬(こた)へ

       醒(さ)め来(きた)れば已に曙光

       捜頭(かざ)せし前日の菊

       猶枕辺(ちんぺん)に在りて香(かんば)し

         菅 茶山(くわん ちゃざん)

    〔訳:自己流〕

       佳節(長陽の節句)を肴に酒を飲んだけど

       あまり暑くて飲みすぎてしまい

       気がついたら、朝の曙光が射しこんでいたので驚いた。

       頭に挿したり飾っていた菊が、枕元やそこらこちらに散らばっているじゃないか。

       香りだけが残暑を嘆く私を慰めてくれている・・・

    このように、暑い夏は、風流を薄め、詩人を少なくし、熱中症ばかりを増やしている。

    何やら淋しくありませんか。

    節句を祝いたいのだが、祝えば別のものになりそうだ。

     

    何かを得たいと思ったら、何かを失う。しかし人は新しいものを得たがるものだ。

    幕末の勤皇の志士 久坂 玄瑞(くさか げんずい)の歌を紹介する。

    (2)竜田川 無理に渡れば 紅葉が散るし 渡らにゃ聞かれぬ 鹿のこゑ

    久坂 玄瑞

     

       こうした矛盾する思いに私が出す結論は、久米 正雄の句としたい。

    (3)生き身の 我が血は紅(あか)し 田端(でんぱた)の蚊

    久米 正雄

    この句は久米の親友であり僚友でもある芥川 龍之介の自決を悲しんだものである。

    君は自決して死んでしまったが、後に残された者は、悲しみ哀悼を捧げるのみである。

    しかし、蚊に刺されたら、生きている肉体は痒いし、自分の血に気づくだろう。

    生というものは、美しくもあり、悲しさもあり、痒さもあるという複雑さを語っている。

    最後には冬を連れてきて明るく強く踏み出す人間を紹介する。

    (4)雪降れば 亦 心温かく

       机上の薔薇(そうび)枯るるといへど

       吾が孤独の星座

       つねに風沙に開く

    林 芙美子

     

    夏で始まり、秋も出し、締めは冬ですね。

    これはいいでしょう。なにか元気が湧いてきませんか。

    自分が目標とする生き方は、常に風が吹き、砂まじりの中にいるが、進みゆくことで、目標の実現を企ることができるとしている。

    この九月の暑さに負けつつ、何とか自分の生き方を高めたいと、4人の先達 菅 茶山→久坂 玄瑞→久米 正雄→林 芙美子の詩や歌をひっぱり出して、暑さに負けようとしている自分を叱咤激励してみました。

    書いて見れば、一年の流れの大局が分り、耐えられたり、新しい道ができたりするんですよ。

    本当に凄い。

    こんな気持ち、みな様にも分って貰えますかね・・・

    理事長 井上健雄

  • 社会課題の解決のために新たな神話をつくりませんか? 【8月】

    私は今、ちょっと嬉しい。

    来月お盆すぎに休みを予定している。

    北の地で、気鋭の学者である友人に会い、遠出の食事会もする。

    新鮮なウニも食べたい・・・良質なタンパク質で美味しい。

    ミネラルも豊富、ビタミン類の葉酸も、活力一杯だ!

    嬉しい楽しみである・・・

    非日常的な交わりは、夢の助燃材でもあり、時空を広がり、日々の生活を豊かに生き活きさせてくれるものである。勿論、日常的な交わりも同様である。

    本論に入る前に、人間の始祖争いを見てみよう。

    人類の歴史を振り返れば、頭も良く、身体も大きく力強いネアンデルタール人と、ホモ・サピエンスの消長は不思議だ。

    最強の彼らより遅れ、体も小さく、ひ弱であったホモ・サピエンスが登場し、瞬く間にネアンデルタール人に勝ってしまった。

    弱い者が勝ち、強い者が滅んだのである。何故か?

    答えは「弱い」にあったと思う。

    弱さを知り、相手や周りの情報を手に入れ、どういう戦いをすればよいか考え、チーム・サピエンスが勝ったのである。

    サピエンスは、大集団を統御するすべも手に入れていたのである。

    ホモ・サピエンスの勝利は、7万年前から人類が獲得し始めた認知革命にある。

    サピエンスは、身振りや声等による情報のやり取り能力を身につけ出していたのである。

    これが認知革命です。

    話がよく飛ぶようであるが、2025 EXPOのシグネチャープロジェクトなるものについて触れる。

    その一つに慶應義塾大学教授 宮田裕章氏「いのちを響き合わせる」Co-beingがある。

    2025 EXPOのテーマは、いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)

    宮田氏によると「・・・現在は経済だけでなく、健康、環境、教育、人権等の多元的な軸で世界を再構成する文明の転換点である。・・・いのちを響き合わせて、世界を共に創る Human Co-being時代が始まる。」としている。

    このEXPOの成功も、質の異なったものがチームとして動くCo-beingを創りあげれば、成功するだろう。

    このホモ・サピエンスの始祖が発明したco-beingは、恐怖や死を前に協働する、敵への対応であったと思う。

    7万年の時空を超えて、人々のウェルビーイングや平和の為にEXPO 2025でCo-beingが入っているのは、なかなか象徴的ではないか。

    7万年前に始まった認知革命、そして始祖は1万2千年前に農業革命を起こし、現人類は500年前から科学革命の真っただ中にいる。

    これからの科学革命の進化は、GAFAM等を中心に、オープンGPTの進化が社会を変えることになる。

    私は、こんな少ない巨人たちに世の中を席捲させてはならないと思う。

    しかし、人々の中途半端な知識や似非は排除・淘汰されていくことは目に見えている。

    例えば今、医療の最先端では、ガン診断の画像分析が進み、医師が見るよりも大量の画像を分析したAIの方がガン発見をする確率は圧倒的に高い。

    保険業界は、医師の診断よりAIの画像分析をするよう圧力をかけ始めている。

    こうした「データイズム」が幅を効かすことはどうなんだろう。

    私は、生き物は、単にデータの集積の分析等から計算機のような反応をするかのようなアルゴリズムに支配されたものとは思わないし、そう思いたい。

    社会の一人ひとりは客観的な、もっと上質な知の蓄積を求められている。

    それも、一段レベルの上がったもので、能の世界の言葉なら「離見の見」というものである。

    「舞台に立つ者は、常に自分が観客からどう見えているかを意識しなさい」ということである。

    リベラルアーツとして、世阿弥の風姿花伝を読み、能を楽しむのもいいだろう。

    離見の見を表した俳句として、私は

    五月雨を 集めて早し 最上川

    という芭蕉の句が好きである。

    蓑笠をかぶった旅人が、一粒一粒の雨は小さくても、これが降り続いて、大河の最上川の流速の早さを変えることに、驚き、川面を見つめポツリと立っている・・・

    その旅人をもっと上から眺めている旅人を詠んだものだろう。

    私たちは、AIの進展する世界において、真面(まとも)な仕事をしていく為には、リベラルアーツ(考える引き出しを増やし、人生を豊かにするもの、文化、芸術、算術等・・・)を磨き抜き、今まで使っていたOS(行動パターン)をバージョンアップさせるか、ニューOSを創造すべき時代になっている。

    これは、心、意識のOSという意味も持っている。

    それを私は大望と表現している。

    人々と共に、社会を良くしていきたいという大望こそが、社会が求めるニューOSであり、新時代を開く扉であると考えている。

    私は、いろんな領域にあって優れたエッジを持った人々と、それぞれの領域を超えたソリューションを世に提供したいと思っている。

    これは、今まで人が踏み込まなかった事柄を新たな想像力で組み立てる神話なのかもしれない。

    社会課題の解決物語が神話となれば嬉しいです。

    伝わればいいのですが・・・

     

    理事長 井上健雄

  • 学生の頃、帰京による三つの発見 【6月】

    北半球にある日本は、まだ季節がうまく(?)回っている。

    春夏秋冬があり嬉しい。

    6月の声を聞くと、夏休みが待ち遠しかった。

    6月は学生時代にトリップさせてしまうマジックワードです。

    先月の挨拶に、子ども時代を登場させたので、今月は大学生です。

    私は4年間、横浜・東京で下宿生活をする青年として、いろいろな発見をし、楽しい実りある生活をした。

    4年の生活で発見したものの一つは、ふるさとです。

    生誕から高校生(大学まで)まで、京都で過ごしていましたが、その頃はふるさととは感じませんでした。

    しかし、新しい場所に棲み、生活をすることで、帰る場所として、故郷が登場したのです。

    この発見は、結構大きなものでした。

    なにかにつけ、京都というものが住みついたのです。

    そして二つ目の発見は、夏休みに永遠の時間を見つけたことでした。

    (アホ言え。それまでグータラと夏休みを過ごしてきたクセに…)

    そうじゃないんです。

    はじめ一人ぼっちの生活をし、夏休みに故郷に帰る。

    京都での休暇は、今までとは違ったんです。

    日常的な京都が異次元の世界を見せてくれたんです。

    京に帰り、まずしたことは、一人歩きです。

    すきなコースは、加茂川を中心に、上賀茂~植物園~御所~町なかの高瀬川を巡るんです。

    そして、八坂さん、清水さんと歩き回る中に、変わらないものが巾を効かす京都を見つけたのです。

    永遠という言葉を見つけたのです。

    この非日常感は、ちょっと飛躍した表現かもしれませんが、永遠という時間を発見したのです。

    三つ目の発見は、東京は、帰る度に新しく街再生として新ビルが建ち続け、まちの様子が一変する地域がたくさんできていました。

    翻って、京都はちょこちょこと新しい建物や新名所的なものはできてはいましたが、変化の速さはゆっくりしたものでした。

    この発展する東京、停滞する京都という対比でしたが、その時考えたのですが、この対比の勝者は、京都になるような気がしたことです。

    変化を見せる東京には新規性ばかりで人を呼ぶ忙しい姿に見えてきました。

    一方京都は、町の中心を流れる加茂川を軸にして、北に北山、東に東山、西に西山と山城の国であり、周辺に神社・仏閣があり、真ん中に御所があるという不変の構造で、静かに佇んでいたのです。

    その上、京の三大祭りとして、初夏の葵祭り、真夏の祇園祭り、秋の時代祭りがあり、その不動の構造に祭りが、その構造を活き活きさせる装置となっているのです。

    面白くファンタスティックな街であることを発見しました。

    50年もすれば、この永遠の時間を持つ京都は日本一、いや世界一の観光都市になるだろうと思ったものでした。

    なかなかそうはなっていませんが、可能性に満ちていると思います。

    私は、街は町としての記憶を持つものだと思います。

    その町の記憶が、人々に夢や楽しみ等、不思議な豊かな時間を生み出してくれるのだと考えます。

    このような発見が、私をして、京都を中心に、関西に生活拠点を持つことを進めたのです。

    そして、変わるものより、変わらざるものの価値に目覚めたのです。

    変わらざるものの代表は、自然の山川、木々、花々であり、伝統的な神社・仏閣等であります。

    こうした思いが、私が主宰する団体をして、環境問題に取り組ませたのでしょう。

    DEI(Diversity, Equity & Inclusion)に関心を持つ由縁かもしれません。

    これが夏を迎える6月の思い出です。

     

    理事長 井上健雄

  • 「どうらく」のすすめ 【5月】

    読者のみなさまにおすすめです。

    「どうらく」をしてください。

    「何々?お酒や、趣味の骨董に感(かま)けていいんか?」

    「私、夜遊びと買い物どうらくだけどいいですか?」

    「私たち、お肉大好きで、肉フェチしていいんだよね」

    ・・・

     「みなさま、私の奨める『どうらく』は、それらとちょっと違うんですよ。」

     「何言うてんねん!どうらくのすすめと言ってるくせに…」

     「私の『どうらく』を漢字で書くと『動楽』となります。」

     「おまえ、騙したな…」

     「人聞きの悪いこと、言わんでください!!…」

     

     ちょっと、あいさつの出足を遊ばせてもらいました。

     私の、この「動楽」の発想は、音を楽しむ、つまり音楽にあります。

     音を楽しみ、歌ったり、ピアノを弾いたり、作曲したり、音に合わせて踊ってみたり、本当に楽しいですよね。

     音楽と同じように、動くことを楽しんでほしいと思っているんです。

     少し考えてみてください。

     みなさま、子どものころを思い出してください。

     坂を見ると駆け上がったり、駆け下りたり、川で石投げしたり、塀の上から飛び降りたり、走り回ったりしていませんでしたか?

     外に出ているときは、動き回っていましたよね。

     そして、夕方遅くなって、腹ペコになって帰っていたと思います。

     つまり、元気いっぱい。健康で細く、しなやかでした。たいていの子どもたちは…

     しかし、最近の子どもたち、そして大人の人々、少し高齢になった人たちを見ていると、動楽をしているようには見えません。

     動かないと、2型糖尿病になったりしてインスリンの働きが低下したり、分泌量が減少し健康寿命を短くしてしまいます。

     少し難しいことを追加しますね。

     よく運動する人は、筋肉細胞内にGLUT4(グリコーストランスポーター)という、糖を輸送するタンパク質が、普通の人の2倍くらい分泌され、インスリンがスムーズに出て、血糖値を低下させてくれるんです。

     高血糖の状態が続けば、糖尿病になるんです。

     つまり、動かないと、身体は年齢と共に、どんどん悪くなるんです。

     そこで、動き、体力をつけましょう、と言っているんです。

     行動できる体力を養成しましょう。

     体力とは、

     ①全身持久性体力というものです。それには心肺体力を高める、有酸素運動がいいんです。

      有酸素運動とは、酸素を使って体内の糖質や脂質をエネルギー源とする筋肉への負担の軽いものです。

      代表的なものとして、ウォーキングやジョギング、自転車漕ぎなどです。

     ②筋力をつけましょう。

      私たちの身体で、最も大きい器官である筋肉をつけ、筋肉太らせることです。

      普通、筋肉は体重の40%(成人男性)~30%(成人女性)も占めているのです。

      年をとると、下半身の筋肉の減少が起こりやすいのです。老化は足からと言いますね。

      この最大の器官を鍛えることが、健康の第二歩とも言えます。

     もうちょっと説明を加えると、行動体力には、あと

     ③バランス能力

     ④柔軟性

     ⑤敏捷性

     があります。

     体力には、行動体力以外に、防衛体力というものがあり、病気やストレスへの抵抗性や、環境などへの適応力というものもあります。

     体力を支えるのは、全身持久力と筋力となります。

    WHOが提唱する「健康上の問題で日常生活が制限されない状態」を健康寿命といい、この寿命を延ばす答えが運動となるんです。

    少し乱暴ですが、太り気味の人が高血圧になったら、降圧剤を飲むより、運動することで、糖尿病も、軽いうちに運動して汗かいて、脂肪を燃焼させたりして改善できるんです。

    もっといいことは、運動すれば、脳を刺激して、認知機能を改善させるBDNF(Brain-Derived Neurotrophic Factor)脳由来神経栄養因子という物質ができることも分かっているんです。

     私は、この動楽を、健康活動№1と名付け、「健活活動」を提唱しています。

     ねえ、一緒にしませんか。

     そして、健康な身体でもって、社会貢献活動をしましょう。

     認知症予防になるし、健康寿命は延び、まわりも元気にさせます。

    これこそ、動楽です。

    動楽するに、もう遅い、はありません。

    筋肉は裏切りません。やればやる程しっかり筋肉をつけてくれます。

    こまめに、きびきび運動しましょう。

     

    理事長 井上健雄

  • 一人ひとりのDEI、そして国家間のDEIへ 【3月】

    3月下旬を迎えました。

    2月の疾風怒濤から、やっと抜け出られたようです。

    あぁ良かった・・・

    私の忙中の中において、天皇誕生日(2/23)を迎えられた、徳仁陛下のお言葉に心救われました。

    「寒さの中にも日ごと春に向かっているのを感じます。皆さん一人ひとりにとって穏やかな春となるよう願っています。皆さんの健康と幸せを祈ります。」

    こんな易しい言葉で、心に響く言葉、本当に日本国を象徴する人の深さと、優しさに包まれました。

    ありがとうございます。

    日本は、資本主義国ではありますが、聖徳太子の「和をもって尊し」の言葉があり、子どもの育成についても空海は「子は日本の宝なり」と言われました。

    こうした伝統こそが日本であり、みなが支え合い、助け合い、生きていくべきだと思います。

    一方で、先日、イーロン・マスクの娘さんが、親に注意をしていました。

    「私を産むって決めたのは、パパでしょ。その上、私にパパの考えを押し付けないで・・・」

    なかなかの親子で面白い。いや、すこし寂しいかなぁ。

    とはいえ、私たち大人は、「麒麟も老いては、駑馬にも劣る」という言葉を戒めとすべきである。

    私たちは、若者が自分の力を信じて前進することを妨げるべきではないのだろう。

    このように、アメリカはガチガチの個人主義で自由競争万歳の国である。

    しかし、日本はもう少しゆるやかな社会であるべきだと考えている。

    今、アメリカを中心とする西洋民主主義、資本主義、自由競争、核家族主義が、世界を席巻しつつある。日本も含めて。

    この考え方の異端として、ロシアの家族主義、専制国家観があり、このあたりの考えは中国やイラン、サウジアラビアなども同様である。

    この大きなイデオロギーの対立は、なかなか解決は困難である。

    嘗て私たちは冷戦を解く為に、米ソが環境問題に取り組んだ経緯を知っている。

    従って、私たちはSDGsという言葉を通じ、地球温暖化対策や、国や地域の平等、人の平等の概念でもって、融和をはかるべきでないだろうか。

    この融和には、三つの概念の理解と浸透が求められる。

    それは、DEIである。

    一、Diversity(多様性)

    一、Equity (公平性)

    一、Inclusion (包摂性)

    DEIの意味するところは、社会の中において挑戦する一人ひとりに対して、機会の公平性を追求し、だれもが取り残されない社会実現を目指すものです。

    こうしたあらゆる個人の自己実現を応援しようとするものですが、私は、国家間も主義主張を超えて、共存できる範囲から少しづつ広げられたらいいなぁと思います。

    楽観的過ぎるかもしれませんが。

    大きな大きな度量でInclusionしましょう。

    個々、いろんなリスクを感じながらも、パートナーシップの相乗効果にチャレンジしていこうではありませんか。

    ポジティブに希望的に。

    理事長 井上健雄

  • 私の二月、ギフチョウ、人間について【2月】

    2月は、好きな歳時や歳事が多い。

    節分、立春、雨水。人寄りには、バレンタインデー。

    天皇誕生日、誕生日です。

    嬉しい。

    春を迎えるには、早くはやくなんです。

    キーワードは、立春なんです。

    立てば、歩いて、早く、来て 欲しい春 なのです。

    まだ、3~4週間ぐらい必要でしょうか。

    早春の女神「ギフチョウ」が飛ぶのは…

    大阪府では、絶滅危惧種Ⅱ類に指定されているんですかね。残念。

    黄色がかった白色と黒色のツートンカラー、翅の下側の赤やオレンジ、灰色の模様が入りとてもおしゃれです。

    ギフチョウは、寒さ残る春にカタクリ花の蜜を求めて飛ぶんです。

    カタクリの花は、早い春の雑木林の中で、木々の葉が開いて、日光をさえぎってしまう前に花を咲かせ、実をむすび、翌年へのエネルギーを貯えてしまうんです。

    この花が咲く頃に、ギフチョウが、年一回の恋の季節です。

    そして、春爛漫には、もうギフチョウはいません。

    彼女らの残した幼虫が、カンアオイの葉を食べて育ち、六月には下草や落葉の中にもぐり込み、かたいサナギになり、翌年の三月末に蝶になるまで、10か月の眠りに入るんです。

    幼虫が餌とするカンアオイの葉は、夏から秋には新しい葉を出さないんです。不思議です。

    このように、ギフチョウの成長には、カタクリの花、カンアオイの葉などがかかせず、絶妙のタイミングにギフチョウが存在するのだと思います。

    本当は、絶妙のタイミングというより、生物は、生物の中、そのものに中に、季節を持っているのだと思います。

    一方で、私たち人間は、生物としての人間の外に、季節があるのだと思います。

    人間は、熱帯でもツンドラ地帯でも、砂漠にだって住むことができます。

    人間は、周りの環境をコントロールして、適応しているだけで、遺伝子の中に季節を持っていないのです。

    そうすると、人間の自然離れが加速し、一層の自然破壊を招く恐れがあります。

    そこで、人間は花鳥風月と自然への賞賛を文化として、取り入れたのだと思います。

    そして、進展する温暖化抑止の思いも含め、生物多様性の尊重と重視への動きもあります。

    生物多様性の尊重は、アニマルのウェルフェアとしての力強い流れを形成しつつあるのかと考えます。

    今月は、ギフチョウの乱舞するイメージとともに、いろんなイマジネーションを膨らませて、春の歳時エッセイと致しました。

    理事長 井上健雄

  • 新春を寿ぎ、皆様のご健康とご多幸をお祝い申上げます【1月】

                               

     利他の春 SDGs 課題とし 語り明かして 夢をうつつに 

    (偉 美韻宮)

     

     未来について、私たちが分かることはただ一つ。

     今とは違うということだけである。

     未来を予測するより、私たち自身で「未来を創りだせばよい」と思う。

     予測できる未来なんて、本来意味がないんですから・・・

     少なくとも、今、人生のルールが変わりつつあります。

     それは、人生の長期化、一方でライフスタイルの短期化、そして、変化の加速化です。

     例えば、加速化について・・・

     自動車なり電話なりが「5,000万人のユーザーを獲得する」のに何年かかったかのデータでは、

    飛行機

    68年

     

    自動車

    62年

    50年以上

    携帯電話

    12年

    10年以上

    YouTube

    4年

     5,000万ユーザーの為に

    Face book

    3年

     

    Twitter

    2年

    5年以内

    Pokemon Go

    19日

    19日で!!!

     社会の変化は、一層加速し、ライフスタイルは短期化する。一方で人の人生は長期化する。

     恐ろしいことです。人の頭は基本的に変化を嫌うものですから・・・

     こうした状況に、変化を創り出そうというのが、この新年挨拶の思いなんです。

     その為に未来を創り出す感性能力として、3つあげたいと思います。

    (1)求められる性格特性

     ・好奇心にあふれている。大ニュースばかりでなく、ベタ記事にも関心がある人

     ・楽観力のある人。何事もやればなんとかなるだろうと思える人

       ポイントは、楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する能力です。

     ・持続性のある人。一つのことを考え続けられる人。

    (2)求められる人は、経験を深い智慧にまで高めた価値ある三つのスキルセットを持つ人です。

     ・テクニカルスキル その人が担当している仕事、いつも新しい観点を取り入れ変革していく業務遂

      行能力のあること。

      小さな瑣事にしても全気全念で取り組める能力です。

      例)プログラミング、イラストレーター等を駆使できる。

     ・ヒューマンスキル ヒアリングに秀れ、他人とコミュニケーションがスムーズにとれる。

        リーダーシップやファシリテーション力。勿論、人間としてのやさしさや品格も必要でしょう。

     ・コンセプチュアルスキル

      物事を抽象化したり、論理構築力等、概念形成能力が秀れていることです。上記の二つのスキルと

      の連動が必要です。

    (3)最近、求められることは、社会的能力として、ネットワーク力のあることです。

      広くて多様なネットワークが必要です。

      いろんな人や意見を聞いて、+αはもとより、思いもよらない新ソリューションをつくりだすこと

      のできるネットワーク力です。

     私たちは、感性能力として、

    (1)求められる性格特性

    (2)三つのスキルセット 

    (3)ネットワーク力 

    をもって、新しい未来を創造すれば良いのです。

     このネットワーク力こそ、最高の魔法である。寄りそって、足し算の世界から掛け算の世界に連れてってくれるのです。

     過去の経験を重荷とすることなく、土台として、新しい世界を切り開くって、なんて素晴らしいことでしょう。

    これらを一言で表現すると

    「私たちは、そこにある未来を良くしていこうとする強い意志のある人々と共にネットワーク力で良い社会づくりを進めたいのです。」

     今年も、みな様にご教導とご励声をお願いし、精一杯の考働により、社会課題の解決に邁進したいと思います。本年もよろしくお願い致します。

    理事長 井上健雄