カテゴリー: 2024年

  • 「未来のための環境塾」成長中!【11月】

    「私たちの未来は暗い・・・」
    いいえ、「私たちの地球の未来が、暗い」のである。
    私たちの未来は、それぞれの意志力と行動力で明るく築けるはずだ・・・
    しかし私たちの地球が、壊れかけようとしていることに無関心で何もしなければ、私たちの未来は暗く悲惨なことになるだろう。
    私たち、若者たち、その子どもたち誰もが「地球が限界を超えて疲弊している」ことを十分に理解していない。

    これは危ないことです。本当の危機的状況に目を向けるべきです。
    そして、この限界を超えている状況にしっかり対処し、地球の健全性を取り戻すべきなんです。

    ここ数年~数十年の間にしっかりした対応ができなければ、地球は、私たちを支えるよりも、一層ひどい災厄を加速度的に増やしてしまうだろう。

    私たちは、プラネタリー・レジリエンス(地球の健全性)を取り戻す意思を固め、プラネタリー・レジリエンス(地球の健全性)のために学び、仲間と語り合い、企業とのコミュニケーションを図りながら、地球の健全性を築く方策に取り組まねばならない。
    このために「未来のための環境塾」というプロジェクトが、誕生したのである。

    そして、この活動に参加する人々が、それぞれの能力のケミストリー(親和力)を産みだすことで、チーム生産性やそれぞれの能力アップに資することにもなる。
    さあ、やろうじゃないか!

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    かつて「天災は忘れた頃にやってくる」と言われた。
    しかし私たちは、毎年のように、気象の極端現象に見舞われている。
    一つの災害から復旧に向かっている中で、また次の災害(大雨による洪水等)がやってくることで、人々は無力感で途方に暮れている・・・

    こうした現象は、気候変動による温暖化に原因があるとされている。

    産業革命前には280ppmであったCO2濃度が、現在420ppmとなっていることが、気象の極端現象の引き金となっている。

    温暖化危機をすばやく警告し、ノーベル賞(2007年)を受賞したIPCC(気候変動に関する政府間パネル)も、二酸化炭素(CO2)増加による温暖化を気候極端現象の犯人であると言明している。
    ※注 IPCC 第6次評価報告書(政策決定者向け要約、2023年11月10日修正)に詳しい。

    IPCCが今の緊急課題としている目標は、気温上昇を1.5℃までにとどめることとしている。
    そのために残されたカーボンバジェット(累積CO2排出量の最大量)は、500GtCO2。2050年までにCO2ネットゼロを実現させねばならないとしている。

    温暖化を引き起こしている原因を私のパーシモニアスモデルで表現するとこうなる。

    IP = P × E × A

    IP(Impact of Planet) とは、地球への衝撃
    P(Population)は、人口
    E(Economy)は、産業界の活動
    A(Affluence)は、消費活動(浪費)

    地球への衝撃は、”人口”×”経済活動”×”消費(浪費)活動”の積で表現する。

    つまり衝撃を減らすためには、人口、経済活動、消費(浪費)活動をいかに抑制するかがポイントとなる。

    つまり、CO2を減らすためには、この3つのファクターをいかに抑制するかがポイントとなる。

    一つ目は、人口。

    西暦元年(キリスト誕生)から、たかが2000年と少しで、2.5億人であった世界人口は、81憶人を超えている。
    2.5億人が暮らしていた地球に32倍もの人が住み生活しているのである。地球は1個のままなのに・・・

    二つ目は、産業界の経済活動。

    産業界は人々を豊かにし、衣・食・住や移動等に贅沢な生活を提供してくれた。
    ほら穴や掘立て小屋から立派な住宅、天にまで伸びる高層住宅。そして照明や家電製品等々すべてがエネルギーの大量消費なしには回らないものとなっている。

    三つ目は、消費者の生活行動。つまり、消費よりも浪費というものをまず撲滅すべきである。

    元来の移動は歩きが基本であり、所によりラクダや牛さん馬さんが助けてくれた。しかし今や、自動車や飛行機や宇宙飛行をするまでになっている。
    進歩していることは嬉しい事だが、地球さんの悲鳴が聞こえだしているのも事実である。エネルギー多消費する行動について、深く考えるべき時なんだと思う。

    こうした三つについて考えるべき時なんです。

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    ここでもう少し視野を広げるために、気候変動以外のプラネタリー・バウンダリー(地球の限界)について、もう少し追加説明を加えたい。

    スウェーデンのヨハン・ロックストローム博士の提唱したプラネタリー・バウンダリー図を示す。

     

    9つの項目を設定し、6項目が既に限界を超えているとしている。

    限界を超えているもの

    ●1.気候変動(CO2濃度と放射強制力の増加)により、豪雨や干ばつなど気候の激甚化を招いている
     →今回のセミナーで重点的に学習しその対策まで考えようとしている。

    ●2.生物圏のレジリエンスの喪失(機能的と遺伝的に)
     原生林の破壊などにより、生物多様性や生態系のバランスが失われている。

    ●3.土地利用の変化
     農地や都市拡大、人々の移動のための道路等のために、自然の生態系とその回復力が失われる。

    ●4.淡水利用
     地下水や湖沼などの淡水資源が、農工業に多量利用されて枯渇し始めている。

    ●5.生物・地球化学的循環
     農地での肥料の過剰使用により窒素やリンが環境中に流出。土地や海域への汚染となっている。

    ●6.新規化学物質
     プラスチック・農薬などの化学物質や放射性物質が環境中に広がり、人々の健康等への悪影響。

    残りの3項目についても、大丈夫というよりデータや評価方法等が不十分なため検証中だ。

    ?成層圏オゾンの破壊
     フロンの使用禁止等で現在290ドブソンユニット付近まで回復しています。

    ?大気エアロゾルによる負荷
     工業活動や火災から放出されたエアロゾルの健康被害予測。

    ?海洋の酸性化
     CO2の溶け込みによる酸性化。貝類や甲殻類など炭酸カルシウムを利用する生物に深刻な影響が出始めています。これって大変です。マイクロプラスチックよりもひどいかも。

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    つまり、こうした結果、『無限の地球』であったものが限界を抱えた小さな地球つまり『有限の地球』となり、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)が出始めたのである。

    プラネタリー・バウンダリーをもう少し分かりやすく言うと、「現在の地球環境を安定的に保てなくなってきている」ということです。安定を越えた危機的なレベルにまで陥っているのです。

    まず、私たちは、市井の一人として、先ほど述べた三つ目の人間の生活行動(ライフスタイル)のあり方を主に考え、行動のチェンジについて提案をしたいと考えている。
    経済活動については、CO2低減に取り組んでいる企業を応援する活動が必要なのだ。

    こうした危急の時にタイムリーに「未来のための環境塾」の開始をできたことは本当に僥倖です。

    地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)を知ってもらい、地球の健全性(プラネタリー・レジリエンス)のために、若者を中心とした人々の活動の場が用意されたのである。

    そして、この「未来のための環境塾」を支えてくれる大学群の支援も凄いものがある。北海道大学、大阪大学、大阪公立大学、関西大学、関西学院大学、近畿大学、長浜バイオ大学等々11大学、大阪ECO動物海洋専門学校の協力・支援をいただけたのである。
    その上、「いのち会議」の共催と、関西SDGsプラットフォーム大学分科会、大阪大学社会ソリューションイニシアティブの後援等々いろんな団体の協力もいただけた。環境先進企業の(株)エフピコ、ニシオホールディングス(株)、浜田化学(株)にも協力をいただけた。

    こうした取り組みのコンセプトを認め、この事業の産官学民協働の取り組みにゴーサインをいただけた大阪市環境局に、感謝しかありません。
    大阪市環境局行政の矜持と胆識に触れた思いです。大学や学校の先生方も大阪市行政の取り組みを評価されリスペクトもされている。有難いことです。

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    私達が、プラネタリー・レジリエンスのために取るべき選択と行動は、この先、何千年にわたって影響を与えることを忘れてはならない。
    今、エエかげんにしてお茶を濁していたら、自分の子ども、その孫に、孫は玄孫と幾千もの後生に恨まれることになるのです。

    若者たちよ!地球環境のレジリエンスを高めようではないか!
    時間を惜しめ!
    地球のために行動しよう!
    暑い最中から北風の吹く時まで、ワークショップに意見や想像力を発揮し「創りあげた啓発企画」を、市民のみな様や仲間に見て貰おうではないか!この成果でもって市民の方やみんなを巻き込もう!

    「未来のための環境塾」を各自、転機の一つとしてジャンプしてくれ!
    未来塾の塾生の成長が、プラネタリー・レジリエンスを築くことを信じて

     

    理事長 井上健雄

  • 今でしょ!未来のための環境塾に。【7月】

    暑い夏に、暑さに追いうちをかける報道(注1)があった。

     

    コペルニクス気候変動サービスによると、6月に今年の5月の平均気温は観測史上最高となり、12か月連続で記録更新したと発表している。年度として少し中途半端となるが、23年6月から24年5月までの年平均気温が産業革命時(注2)より、1.63℃と上回ったと報告している。

    この1.5℃を超える熱ストレスは、労働力の大きな消失を齎すと警告している。

    この熱ストレスによって失われる労働時間は、2030年までに全世界で2.2%にもなり、フルタイムで働く人数だと8000万人も労働力がなくなり、経済損失して2兆4千億ドル(380兆円)と試算されている。

     

    また度重なる山火事が襲うカリフォルニア州では、火災保険が次々と停止され、保険成立ができなくなっている、、、、

    その上、温暖化は農業従事者の労働時間を短くさせ作物の手入れ不足や、海面上昇など耕作可能地を少なくさせるなど、食糧不足を起こし始めている。

     

    新聞1頁分の3分の1にも満たない量なのに、今述べた他にも、ドイツのヨハネス・グーテンベルク大学などが2023年北半球の夏が過去2000年間で最も暑かったことを証明した。それは、長寿とされ2700年以上生きた樹木の年輪分析による気温復元からの結果である。

    こうした努力には頭も下がるし、エビデンスを示されると真摯にその取り組みにリスペクトも抱く。

     

    数千年の時間軸の中で、産業革命後のほんの少しの時間がつくり出した急激な温暖化の問題は、少なくともワンジェネレーションでなく、数世代に亘る世代連携における改革意識と、それを社会的実装力とする実力を持った層との連携こそが、必要だと考えている。

     

    つまり、世代(15年間位)毎の有権者は、同じような価値観を持ち、政治的な意思もはっきりとしてくる。

    ここでは、アメリカのCenter for American Progress(注5)の世代分けから世代構成の変化から考察する。

    つまり、アメリカの大統領選の結果は世代別の価値観が大きいインパクトをもたらすものであり、これら世代別のウェイトが変わってくることが変化の芽となるだろう。

    特に私は、温暖化抑制に厳しい取り組みを要求するZ世代とミレニアム世代のウェイト変化に、新しいライフスタイル要求が出てくると考える。

    これをもう少し深く読み込んでみたのが下記の表である。

     

    2020年から2036年にかけて世代のウェイト変遷があり、特に環境問題、CO2コントロールに厳しい対策を要求するZ世代+ミレニアム世代が、有権者として主力に躍り出るのは、アメリカの大統領選の次次選の2028年が分水嶺となるようだ。

     

    今年の2024年11月に迎える大統領選はX世代、ブーマー世代が多く、環境派にとって苦戦を強いられそうである。

    ただ、現在の30年に1回とか50年に1回といった大災害(大雨、洪水、干ばつ、山火事、、、)がたて続けに起こっている現象を経験したり、報道でよく目にする機会が激増している中で、Z世代を中心に気候正義という言葉が使われ出して早い変化もありうるだろう。

     

    気候正義とは、温暖化は自然現象でなく、人為的なもので少数の強者が作り出したものである。

    この強者こそが加害者であり、私たち若者はそのツケで苦しんでいる。

    これは不公正でかつ社会構造的な暴力であるとしている。

    強者は、こうした不正を正し、生態系や人権に配慮した取り組みをすべきだとしている。

    こうした考え方のリーダーがグレタ・トゥーンベリである。彼女の一人学校ストライキが全世界に広がったことは、世界の驚きであった。

     

    2024年アメリカ大統領選は、バイデン対トランプの対決は、二項対置で言えば、温暖化抑制派 対 リアル炭素賛成派 と評価されるべきだが、そうはなっていない。単なる老老対決でお互いのスキャンダルの応酬に終始している。

     

    アメリカの状況に対し、傍観者的に考察するのではなく、私たちも(日本も)このような世代観と共にZ世代に対し、地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)をまずこの世代に知ってもらい、地球の健康(プラネタリー・ヘルス)を創り出す活動を始めて欲しいと思っている。

    そして、大学生を中心にプラネタリー・ヘルスへの取り組みを本格化して欲しいと考えている。

    そして、各大学での環境負荷を減らすナッジ活動にも取り組んで欲しいと思っている。

    大学生が環境低減のためのナッジの提案を、大学当局も社会的実装とはこうだと一緒に活動してほしい。

     

    こうした経緯のもとに、大阪市環境局の環境学習活動の一環として「未来のための環境塾」が誕生したのである。

    また、僥倖に恵まれて、「いのち会議」さんとの共催になり、その上、大阪大学社会ソリューションイニシアティブさんと、関西SDGsプラットフォーム大学分科会さんまで後援名義をいただけたことなど本当に有難いことです。

    この活動への参加は、一人ひとりの大学生を中心とするZ世代と、ミレニアム世代への情報出し活動を強化し、これらの活動とともに、社会的実装力を持つ人々の深い知識や経験を持つ人々の智慧が望まれています。続発する気候異変は、もう「社会課題」ではなく、あなたと私たち一人ひとりの危機なんですから、、、。

     

    大阪からこうした「未来のための環境塾」が生まれようとしていることは、関西に住む人々の誇りです。一緒に活動しようではありませんか!

     

    こちらから参加の登録をしてください。待っています。

    未来のための環境塾サイトへ

     

    理事長 井上健雄

     


    (注1)日本経済新聞(2024年7月5日朝刊)

    (注2)産業革命以前 1850~1900年の平均気温

    (注3)IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) 

    「気候変動に関する政府間パネル」

    (注4)ILO (International Labour Organization) 「国際労働機関」

    (注5)Center for American Progress

     

     

  • 小さな努力でヒートショックに立ち向かう           ~来月の世界環境デーを前にして~【5月】     

    今、私たちは日々安穏な生活を送っている。

    しかし、「世界秩序は狂い」始めている。恐いことには、「この狂い」について誰もが修理しようとせず、挙げ句の果て、その狂いに乗じて富の獲得や領土を広げようとしたり、テロを起こし、秩序に支配されたように見えた世界を一気に危なさの惨憺の中にさえ落としてしまっている。

    誰もが修理されない家に住み続けられる筈がないことを知りながら、修理しようとしていない。これは、ロシアやウクライナの戦争やハマスとイスラエルの衝突などは、ひどい傷痕ばかりを出しながら続いている。このことによるCO2の排出量も大変な課題である。

    私たちの日常も同じようなものかも知れない。

    CO2増加による温暖化対応など、本当に取り組んでいるように見えない。ここでも私たちは、一人ひとりが修理せず生活をしているように見える。

    この環境問題への対応は、私たち一人ひとりが当事者であり、手立てをたて実行する責任がある。しかし、こうしたことは、政府や企業が取り組むもので市民は関係ないように振る舞っている。

    地球に生命が誕生して38億年の歴史において、最新の6億年間で生命の大規模な絶滅を5回経験している。この5回目は、ユカタン半島への隕石衝突により、白亜紀、ジュラ紀にかけ恐竜をはじめ、生命の大絶滅を起こしたのである。

    そして今、6回目の生命大絶滅の原因と予想されるものが、現在の私たちの「資源多消費型ライフスタイル」なんです。隕石に匹敵するなんて恐ろしい、、、、

    なぜなら、私たち生活者のライフスタイル(衣・食・住・移動)の4分野だけでも、CO2の50%以上を出しているのだから。

    ここでは食と住について少し提案してみよう。

    ささやかな庶民の生活に水を差すな、とも言われそうですが、やはり「生活習慣を変えること」こそが求められているのだから。

    食について考えるなら、お肉の好きな人もミートタリアン(肉ばかり食べる人)から、せめてフレキシタリアン(肉以外のものを食べる人)になって欲しい。出来ればベジタリアンでしょうね。

    野菜、穀物類はできる限り国内産で旬産旬消をしていただきたいと思います。

    そしてその野菜はベランダでの栽培や、畑を借りるなど自分で汗して作れるような生活を持ちたいものです。

    都市国家のシンガポールには、1万人の都市農民がいると言われています。

    買い物をする時(スーパーやコンビニ等)は、前取りを中心に見切品等をうまく購入すること。食を作る、保温する時には、圧力鍋の沸点の高いもので、省エネができることも覚えておくべき一つとなります。

    もっと大事なことは、必要以上のカロリーを摂らないことです。体重は、BM1などの数値をもとに自分でコントロールすべきです。

    住については、家や部屋の断熱構造を高めることです。窓については二重ガラス等が方向性です。

    夏は、太陽光の制御をポイントとしましょう。植木、簾、カーテン等をうまく活用してください。また、濡れたタオルと扇風機(自然風)で気化熱の活用も一つの手です。

    勿論、家の広さ、方角や立地によりますが、再生エネルギーの取り入れは大事です。

    照明は、LEDの活用とオフィスなどは、シーン制御の全体コントロールとタスク・アンビエントの組み合わせもいいでしょう。

    いろいろ細かいことを一つひとつ実行することで負荷は減ります。

    日本の「早寝早起き朝ごはん」と太陽のある中にという良い慣用句も温暖化が進むベトナムの米農家においては、暑さを避けるために夜中にヘッドランプを付けての田植えを余儀なくされているし、カタールでは5月からA.M. 10:00〜P.M. 3:30まで屋外労働を禁止しています。

    この温暖化によるヒートショックによる経済損失は、現在で2兆4千億円だとしている。

    一つひとつ温暖化対策という修理活動という小さな努力を積み重ねましょう。

    大変だ!しかし今なら間に合います。

                                          理事長 井上健雄

  • 科学発達の光と生態系崩壊の影 【4月】

    私たちは科学の発達の恩恵でいい生き方ができている。それにより、、、、

    『何を言っているのだ!原爆を生み出し広島・長崎の悲惨さを齎したんじゃないか!またロシアのウクライナ侵攻のミサイルや爆撃機が多数の市民を殺戮しているのも科学じゃないか!—-』

    いやおっしゃる通りですが、もう少し、、、、

    『うるさい!おまえの言うことなど—-』

    待ってください!少しだけ、、、、

    『よっしゃ聞いちゃる。なまじなこと言うと怒るぞ!』

    分かりました。始めます。

    今、地域によりますが、草原や山裾にうさぎさんやきつねさんが棲んでいますよね。

    『こら何が、うさぎやきつねの話なんか聞いてねえぞ、、、』

      待ってくださいよ。これからなんですから。うさぎさんたちがどんどん増えて栄えている所はございますか?

    『そんなこと知るか!』

      もう一つ、きつねさんが増えて困っているという話はありますか?

    『ごちゃごちゃ言うな。何が言いたいんやエエ、、、』

      ありがとうございます。本題に入りましょう。

    うさぎさんが繁殖するためには、草原を増やし、草を早く成長させたら餌が増えて、うさぎさんの経済は繁栄するでしょう。また、きつねさんが繁殖するためには、うさぎさんの数を増やせたら、きつねさんの経済は発展するでしょう。

    つまり〇〇をしたら、、、の〇〇が が、うさぎさん、きつねさんにその能力が欠けているために繁栄できないのです。つまり、経済、種の繁栄のためには、まず食糧を確保できれば繁栄できるのです。

    『そらぁ腹が減っては戦ができんからなぁ』

      そうなんです。私たち人間は、新しい材料やエネルギーを発見したから、食糧も増え繁栄できたのです。しかしこの材料やエネルギーは、量に限りがある。使えば使うほど少なくなります。石油でも鉄鋼でもレアメタルでも、、、こうした中で人は、知識という資源を発見したのです。知識は増え続ける資源なので、使えば使うほど増えるのです。しかしこの知識は、キリスト教やイスラム教、仏教等々の聖典の中や、昔々からの伝承の中にあったものだったのです。そこで人は人間として最高の発見ともいうべき「無知」を発見したのです。

    『なんで無知が発見やねん。—-ブツブツ』

      知らないから知ろうとして、石油だって探査技術の発見や掘削技術の進歩から新しい石油を発見したり、新しいエネルギーとして太陽光の利用の太陽光発電や、風を利用した風力発電等を発見し、エネルギー革命を起こし持続的な一歩を歩みだしたのです。人間の科学技術の知識が、今の豊かな知識を築きあげる大きな貢献を果たしたのです。

    『なんや!科学技術礼讃かいな—-』

      いいえ、それだけではありません。勿論、再生エネルギーの活用やコンピューターなど、このベースとなるナノテクノロジーや遺伝子工学、AIなどを知ろうとする大革命の結果、今の繁栄があるのです。しかし、人間社会に富を齎した知識が、一方で地球の生態環境を悪化させ、生態環境の崩壊さえ語られるのが現在なんです。

    『そうや!おまえ!俺の言うことが分かってるやないか。そうやこれからどうするだ?』

      嬉しいです。やっと意見があってきましたね。私たち人間の生活は豊かになったのですが、他の動物さんや植物さんの植生などは悪化してきて、限界に近づいてきているのかもしれません!

    『そうや!初めからそう言えや、俺も応援しちゃるから』

      ありがとうございます。私の今回、申し上げたいキーワードです。地球生命のすべてを守るOne Healthを強調したいのです。

      ワンヘルスとは、

                     地球の健康 (温暖化は一つの病状として回復に取り組むこと)

        (生態系)

     

                     人の健康  (人としての尊厳が守られて自由に発言し行動できる。

    そうして肉体的、精神的健康を守ること)

     

                     動物さんたちの健康  (健康でルーチンな行動ができる等の環境を創り、

    人間と共存する命として扱う)

     

      この三つの健康はすべて絡み合っており一つだけの健康ということはあり得ません。

      こうしたことを次から各論として展開したいのです。

    『おう、ワンヘルスいいやないけ。それなら聞いちゃる。ちょっと次の予告でもしてみろ。』

      ありがとうございます。

      次はまず哺乳動物のサルやブタさんから、チスイコウモリさんとクジラさんについて

    語ってみたいです。

    『あぁ、聞かなよかったな。サルやブタさん、、、あぁ分からん。しっかりした話でないと怒るぞ!』

      分かりました。心して臨みます。5月の挨拶をお楽しみに、、、、

    理事長 井上健雄

  • デコ活をはじめよう! 【3月】

    ちょっと恐い表現をすると、『私たちの社会は、破局の一歩前にいる。』

    グローバルサウスの国々を中心に豊かさへの歩みが始まっている。

    インドのデリーのスラム街の住人が、アメリカンドリームに近づけば近づく程、世界の破局に近づいているのである。

    このように貧しい国々は豊かになろうとしているし、一方で先進国の人々は、日々金持ちの贅沢品であったものを必需品として使いだしている。

    ダウンのコートやブルゾンとして、カシミヤコートまでがリサイクルBOXに入っている時代なんですから・・・

    先進国の人々の生活は、もう既に地球2個分以上の生活をしているのです。

    つまり、1個しかない地球をもう1個分を使うという赤字生活をしているんです。

    これでは、地球さんが悲鳴をあげたくもなるでしょう。

    地球さんは、悲鳴の変わりに気候変動と温暖化というメッセージを私たちに送ってきているのです。

    産業革命当時に比べ、現在地球の平均気温は、1℃上昇しこのままの推移でいくと4~5℃上昇する恐れがあります。IPCCは、まず2050年までの温度上昇を1.5℃内にコントロールしようという国際合意(パリ協定)を成立させました。

    そして各国が、この合意の為に、計画し実行し遵守しようとしているのが現在です。

    しかし人によっては、もう後戻りできるティッピングポイントを超えてしまったという人もいます。

    (否定する声)

     ・・・・・・なにごちゃごちゃ言っているんだ。

     お天道様は、いつも東から上り西に沈み、気候だってちゃんと春夏秋冬があるじゃないか。

     1.5℃位どうだっていいじゃねえか……

    まぁおっしゃることは、分からないでもないんですが、温暖化は脅威乗数なんですよ。

    (否定する声)

     なに脅威乗数ってなんだ!

    温暖化で、食べ物が採れなくなったり、仕事の生産性も落ちることは当然ですがこれら以外にも種々の問題を引き起こしてくるのです。

    つまり温暖化は、陸や山地を乾燥させ山火事を多発させることになりますし、氷を氷解させ海面上昇により沿岸部の人々の生活の場を奪うことにもなるのです。

    その上・・・

    (否定する声)

     まだ、あるのか・・・

    ハイ。残念ながら、温度が上がれば食用作物から、栄養分が失われていくのです。たん白質や鉛や鉄の含有量は、今までに比べ1/5まで減少するとされているんです。

    その上、・・・・・・

    (否定する声)

     まだあるのか・・・

    その上、植物の細胞や酵素は39℃で破壊され植物全体を死滅させる恐れまであるんです。

    (否定する声)

     分かった、分かった。そしたら俺にどうせいと言うんだ!

    立派な決断ありがとうございます。

    私たちのライフスタイルを省資源でエシカルなものに行動変容することです。

    日本の環境省のおすすめは、くらしの中のエコロがけデコ活です。

       デ 電気も省エネ、断熱住宅

       コ こだわる楽しさ エコグッズ

       カ 感謝の心、食べ残しゼロ

       ツ つながるオフィステレワークとされています

    一人ひとりが小さいことでも1億人もの人がしっかり実行すれば資源消費を減らせます。

    もっともっと学びたい方は、各市町村の取り組みを覗いてください。

    例えば大阪市の方なら環境局のなにわエコスタイルのおおさか環境ネットワーク全プログラム一覧などアクセスしてください。

    誰もが本気でプラネタリー・ヘルス(地球の健康)に取り組むことが喫緊の課題です。

    まずご一緒にデコ活運動を始めようではありませんか!

    理事長 井上健雄

  • 私たちの生き方を考える 【2月】

    私たちは、いま生きているいろんな局面において、ティッピングポイントに対峙しています。

    ちょっとした条件が異なると、砂漠にもなるし、線状降水帯が発生すると、河川の氾濫による洪水にもなる…

    熱帯地域で発生する上昇気流は、水蒸気を多く含み大雨を降らせますが、中緯度地域(北緯・南緯とも30度付近)までくると、空気が乾いて乾燥地帯となることが多いのです。

    そうすると日本も北緯35度あたりに位置しているから砂漠化してもおかしくありませんが、幸運なことに、日本はモンスーンによる季節風により湿潤な気候となっています。

    今、偏西風の蛇行現象も大きくなっており、いろいろな変化に遭遇しはじめています。

    ティッピングポイントとは、不可逆的な変化を起こす臨界点を指します。不可逆的な変化が起こってしまえば、もう元に戻れません。

    ですから私たちは、いろんな変化に会いながらも、フィードバック・ループが働く適応システムの世界を、なんとしてでも維持しなくてはならないのです。

    私たちは、今回のコロナパンデミックにより、はじめて「人類」を発見したと思います。

    今までも人類という表現はありました。

    『今、人類が初めて月面に下りたったのであります。』たった二人が月面に立ったのです。

    それにひきかえ、コロナパンデミックスは、私たちみんなが経験しました。すべての人がコロナパンデミックという大河に入ったのです。

    「人類として」

    例えば、私たちが狭い地球で住む1万人の村人として、9,990人がコロナワクチンを打てていたとしても10人の未接種の人の中から1人の人がコロナ感染すると、その流行を抑えることは至難になります。

    本当にこの疫病を防ぐとしたら、惑星レベルでのワクチン配布がされるべきです。

    「人類のヘルス」を守るために。

    前半に述べたのは、人類による地球資源の貪るような消費から、co₂濃度の上昇を招き気候変動が大きくなり、後戻りできないティッピングポイントまできているということです。

    ここにきて、コロナパンデミックのような大疫病に対し「人類」としての対応が必要だということを悟りつつあります。

    つまりこの「どんどん成長を目指す資本主義」の限界が見えてきているのです。

    こうした事態に対し、一人ひとりの人が地球のヘルス(人も動物も植物もそれぞれ生命)を守る重大さを感じて、みなに知らせ、みなを巻き込み、行動を変えて欲しいのです。

    私は、大きな社会システム等について語ることはできませんが、私たち一人ひとりが

    「生命の網の中のプラネタリー・ヘルス」を追求すべきだと感じています。

    この大きな命題への道筋の一歩として、働き方と賃金について考察してみたいと思います。

     

    例としてタンザニアリサーチを紹介します。

    タンザニアで「学校の校庭に植樹」するというプロジェクトがありました。

    この植樹のために2グループ編成されました。

               Aグループには、「最低賃金を支払う」と伝えられた、

               Bグループには、「賃金は支払われません」とした。

    さてここでクエッションです。

    Q:植樹後のグループの満足度が高かったのは、A・Bどちらでしょう。

     先を読まずにまず考えてください。

     もし何人かのグループでいるのなら、グループ討議をしてください。

     

     

     

    タンザニアでの満足度調査の結果は、圧倒的にBでした。

               Aグループの人は、なかなか大変な仕事だった

                労働時間も長かった

                割の悪い仕事だ…

               Bグループの人は、自分のコミュニティに良いことができた

                いい運動になった

                子どもたちに日陰を作れて嬉しい

                充実感を語る人が多かった…

    同じ「植樹」でありながらAとBでは対照的な結果となりました。

    なぜでしょう?

    Aは、お金(最低賃金として)を支払うというインセンティブがつくと、この労働は、市場関係に入ったことを意味します。つまり、市場関係に入ったからには、最適のリターンを求めることは当然かも知れません。

    一方Bは、社会的な価値あることをしたという満足感を感じあう関係となり、社会や子どもたちへの贈り物をできたことを、喜べる機会となったのです。

    私が後半で述べた「生命の網の中のプラネタリー・ヘルス」への道筋の一つとして、タンザニアの植樹ボランティアを紹介したかったのです。

    このように環境を守る一助となり、結果として人の健康への貢献となる社会的価値を創る仕事に、賃金を離れたお布施や贈り物として、些少のお金で回る社会なんかが理想です。

    市場を離れた社会的意義ある仕事をそれぞれの立場でお布施化できないものかと思っています。

    特に環境を守る、次世代を育てる教育や幸福感を感じられる社会づくりへの一つの生き方として新しい生き方を導入できないか等、夢みています。

    エエ年こいて夢なんか見るな!とお叱りはごもっともです。

    しかしご一緒に新しい風を吹かせませんか!

    理事長 井上健雄

  • 新春を寿ぎ みな様のご健康とご多幸を お祝い申し上げます。 【1月】

    日本っていいですね。

    四季があって、正月があって・・・

    この自然と文化伝統が日本なんですね。

    今年もみな様と、パートナーシップをキーワードに、仕事に人生にチャレンジします。

    みな様の厳しい叱声とともに、やさしい笑貌に助けられながら、当団体のパフォーマンス能力を全機させ、社会課題の解決に全力で取り組みます。

    さて、私たちが直面している問題点を挙げると、大きく三つあります。

    1.温暖化による気候変動

    2.世界的な感染爆発

    3.分断を深める国際紛争

    例えば、一つの問題に対応しようとしたら、学びの場のカリキュラムも変化があるべきですが、経済学の講義は、需要と供給の法則から始まっています。(言えば、これは法則でなく、単なる経験則なんですが)

    間違っています。

    経済学もプラネタリーバウンダリー(地球の限界)から学び始めるべきです。

    これは、スウェーデン出身の経済学者、ヨハン・ロックストロームが主張しています。

    これをドーナツモデルとして提案したのが、イギリスの経済学者でオクスフォード大学環境変動研究所上級客員研究員のケイト・レイワースです。

    彼女が主張したことは、環境問題について物理学から学ぶより、生物学をメタファとして活用すべきだという主張です。

    私たちが生きている世界は、生物や進化やエコシステムの複雑なシステムに適合する経済をつくり出すべきとしています。

    気候変動は、もはや斬進的な変化ではありません。

    すでに、いろいろな局面において不可逆的な変化になっているのです。

    もう、躊躇している暇はありません。

    繁栄したいのであれば、複雑な動的システムと融合すべきだと。

    動的システムということは、絶えずバランスをとれる状態に戻してくれるということで、ティッピングポイントや、フィードバック・ループのある適応システムだということです。

    この見方というか、このレンズの考え方にワクワクしませんか。

    動的システムにうまく働きかけ、その反応から、また行動するということで、社会の安定度があがると思います。

    そして、これから人々の働き方について、述べたいと思います。

    資本主義の格差を助長するシステムを続けるべきなのか、民主主義の格差を軽減する仕組みをとるのかの、本当は大変な選択を迫られているのが、現在なのです。

    これも、ケイトさんが経験した例を紹介します。

    タンザニアでの、校庭に植樹プロジェクト報告から。

    この校庭に植樹するのに、二つのグループを作り実験しました。

    □Aグループには、最低賃金を支払うと宣言する。

    □Bグループには、賃金はありませんという。

    Q:A、Bグループの中で、どちらの方が満足度が高かったでしょうか?

    みな様、いかがですか?

    Aグループは、仕事が思ったよりキツかった。労働時間も長い。安い・・・

    Bグループは、自分たちは、コミュニティに有益なことをしたという気持ちになった。いろんな人たちと交わり、楽しかった。こういう機会があればまた協力したい・・・

    つまり、賃金が発生するということは、市場関係に入り、リターンを最適化しようとする。

    そして、働く人は、できるだけ高い賃金を求めるのです。

    一方で、金銭を絡めなければ、私たちは交換し、与え合い、見守り合う関係となるのです。

    私たちは、より大きな社会的価値を探し、その行動に満足するのです。

    私は、NPOで働く人間として、生きていく為に報酬は必要ですが、大事なことは、意味ある仕事、価値ある仕事を通じた社会貢献であると考えています。

    働くということは、私は他者とのつながりの中で、自分の人生を歩み、人間として成長し、成熟していくことだと思います。

    よい人生とは、仕事抜きでは語れないと考えます。

    こうした仕事を私は、パートナーシップ(SDGs Goal17)で、遂行し、パフォーマンスを高め、みな様とともに、楽しみたいのです。

    2024年 元旦 理事長 井上健雄