カテゴリー: 2016年

  • すべてを変えゆく時の中で

     2016年6月23日 国民投票 Brexit イギリスのEU離脱。
     2017年1月20日 President Donald John Trump誕生

     上記の二つは、起こるべくして起こっている。
     何故だ?何らかの間違いやポピュリズムで起こったのでないか。そんな声も多い。
     しかしこれは起こるべくして起こったのである。

     現在がどういう状況にあるかを考えてみよう。
     第2次世界大戦後から現在までの、せいぜい60年を3期に分けて考える。

    1期 1950~1980: 戦後の経済の大成長期
    2期 1980~2010: アングロ・アメリカンによるグローバリゼーションの進展
    現在(3期) 2010~現在: グローバリゼーションへの非難、疲れの時代

     現在、アメリカとイギリスが進めた市場原理主義の経済政策、ネオリベラリズムへの嫌悪感が出てきているのです。
     何故グローバリゼーションの勝者でもあるべきアメリカとイギリスが、保守化しようとしているのだろう。
     それは簡単。
     グローバリゼーションによる国内の不平等が拡大し、今まで支配的だったグループを下層へ転落させたことにあります。

     例えばアメリカでは、支配的な地位にあった白人グループの死亡率は上昇し、社会不安の増大に伴ないナショナリズムの方向への回帰が出てきたのです。
     イギリスも同様に、EU内で疲弊した白人階級を中心に、国民国家の再構築を目指しだしたのです。

     このグローバリゼーションの波に乗って上昇しているのは、ドイツです。
     なぜドイツだけが大量に移民を受け入れているのか。
     福祉概念というより、労働力補充というパワー戦略なのです。
     出生率は、日本と同じ1.4なのです。その現象をシリア難民、中東難民の受け入れで補っているのです。

     これは経済的には、労働力として成功しているかに見えますが、ドイツ国民と移民は生活慣習が異なります。
     例えばシリアは、内婚率35%。内婚率が高いということは、閉じた集団を指します。
     ドイツ国内にいるトルコ系移民は、内婚率10%。この10%の数値でさえ、社会的な統合をうまくまとめることに失敗しています。
     なぜならドイツは完全な外婚制(イトコ婚の禁止)なんですから。
     人口減少というパワー減を、こうした社会的習慣などが異なる集団と受け入れることで、パワーを保とうとしていることになります。
     これらは、先々の分裂や崩壊を示唆するものでしかありませんか。EUの将来を暗示するものでもあります。

     こうした戦略を取るドイツと袂を分かとうとしたのが、イギリスのBrexitなんです。
     今、EUには、Europa〔独語〕(ドイツ的ヨーロッパ)は、あっても残念ながらEurope〔仏語〕はないのです。
     こうした意味で、ドイツに追随しているフランスにもいずれEU離脱がくるかも知れません。(つまりEUにおいてEU化というよりドイツ帝国化が進んでいるのです)

     このように考察をしてくると、ドナルド・トランプ氏の国内回帰、保護貿易など孤立主義も、今の時代の先駆的現象だと言えるでしょう。
     もし冒頭の現象において、イギリスのEU残留、ヒラリー・クリントンの勝利があったとしても、EU分裂の流れとアメリカの国内回帰は、一層すすんでいくでしょう。
     時代は変わっています。奥深いところで静かに、そして滔滔と流れています。
     私たちもこの深い静かな流れにおいて、私たちは、しっかり大義とともに進んでまいりましょう。

    理事長  井上 健雄

  • 研鑽する日々について

     人びとは、基本的に膨大なインプットを積み上げ、徐々にアウトプットを形成していくものである。
     例えば長く続く音楽家にとってさえ、一人の娘、一人の息子を音楽家(食べられるとか、一流に…)育てることは至難である。
     小さい頃より家庭教師をつけたり、楽器を与え、防音の部屋をつくり、長じては音大や世界コンクールでの入賞を目指す旅をさせたりすることは、大変なものいりである。

     基本的にインプットとアウトプットは釣り合わないものである。
     しかし、才能なり、執念なり、継続の力なりをもって一たび成功を納めると、アウトプットはどんどん大きくなる。
     これらの成功者は、一人ひとり個性的であるが、共通するものは向上心である。

     例えば、あのウラディミール・ホロヴィッツは、80歳近くなっても新人のコンクールを聞きに来ていて、○○さんの第2パーツの7番目の音を聞いて、これが求めていたものだと思わず手を打ってしまったという話がある。
     いくら年を積み重ねたとしても、好奇心と新しい音を求めている。
     彼は消えているような最弱音から雷のようなフォルテッシモまでの音量、音色を自在にあやつり、88鍵を支配する演奏は、感動に尽きます。
     ショパンも勿論いいですが、私はスーザ作曲の「星条旗よ永遠なれ」のホロヴィッツ編曲と超絶演奏など絶品だと思います。
     1989年11月5日。ピアノ史の一つの時代が終わりました。
     さみしいです。

     ホロヴィッツにかまけすぎました。
     もう一度、教育のインプット、アウトプットの話です。
     人はえてして少ない教育時間で大きな収入を望むものであるが、これは基本的に失敗で終わるものである。
     子ども達は少なく勉強して、おいしく生きたいと思う。
     しかし少なく勉強すれば、一層少ない収入で我慢するしかない。

     かれらは誤解している。
     6・3制の義務教育という言葉がある。
     これはかれらが教育を受ける義務があると思っている様だが、そんなものはない。
     義務があるのは親であり、子供は教育を受ける権利があるだけである。
     そうすると権利だからと往々にして乱用する。
     面白くない授業だと騒ぐとか、はたまたサボるとか、権利を放棄して得意がるとか…
     いいでしょう。時代は自己責任なんです。
     つまり勉強せず、いろいろなことに分らないことをそこらじゅうに残して社会に出ていく。
     そうすると文脈の中に分らない言葉が沢山でてきて、意味が分らなくなり、トンチンカンになったり、落伍して職を失くしたりする…

     いろんな無駄なことを覚えたり考えたりして研鑽してきた人は、Aが無駄になってもBやCやD…がある。
     そしてそこでパフォーマンスを納めていけるのである。
     できる人は、リスクをヘッジする沢山のリベラル・アーツに囲まれているのである。
     学生として、社会人として、深いリベラル・アーツを身につけた人には、豊かな選択肢と豊かな人生がある。
     どんなに年を取っていても、今日は明日の自分より若いのである。
     今、この瞬間を一所懸命勉強して未来に向いましょう。

    理事長  井上 健雄

  • とりとめのない話

    (生命の歴史とヒトの住むべきところ)

     私たちは、30億年前にプロテインワールド仮説による細菌としてスタートしている。
     ザーッと時を超えて4億年前、私たちは魚に進化した。
     そして時を駆けて1,000万年前において、私たちはやっとチンパンジーと同列の世界にいた。
     そして今、私たちはヒトとして生活している。

     ヒトをしてヒトたらしめたのは、脳の重さだと言われているが、実際どうだか分らない。
     脳の重さならネアンデルタール人の方が私たちヒトより大きかった。
     私たちヒトは、ここ1万年は脳は小さく進化しているのである。
     つまり脳が大きい種はエネルギーを使うので、今後数10年~数百年先に訪れるであろう大飢餓に備えているのかも知れない。
     または、大多数の人々がAI等に使われる人びとであったり、考えることを求められない人がふえる傾向に合致しているのかも知れない。
     小脳化は、なんか考えると恐ろしい…

     地球の生命の歴史40億年の中でも、取りわけ好きな年代がある。
     カンブリア紀である。
     5億4千百万年前から4億8千5百万年前の時代である。
     この頃に、生物の爆発的進化が起ったのである。
     そして、いろいろな動物のボディプランが出来あがったのである。
     そしてそれまで流体骨格であったボディに、骨が登場してきたのである。
     この骨が運動、身体の保護と支持という生命力維持の3つの役割を果したのである。

     なぜカンブリア紀に生命爆発をしたかというと、海水中のリン酸濃度が増加したとある。
     つまりヒトの骨格はリン酸カルシウムでできている。(勿論、炭酸カルシウムの骨格もあればシリカ骨格もある)
     骨が出来て、そして眼の発達もあり、動物の爆発が起こったと考える。
     それぞれの種が、ボディプランを実現できる環境を、地球が生みだしていたのである。
     こんな時代に生まれていれば、自分の考えるボディプランが今も続いているかも知れない。
     勿論三葉虫なんかではありませんよ。

     このように考察してくると、ヒトは地球を離れて生存もできないし、自然を壊してしまうことは、ヒトとしての生命を止めてしまう大惨事である。
     大都市は、地球自然に巣くうパラサイトであり、自然と共生社会を築くエコビレッジこそが、中間解ながらのソリューションになるのだろうか。

    (注)
     生命の起源は、DNAワールド仮説からRNAワールド仮説、プロテインワールド仮説等、様々ある。
     今は、タンパク質がまずはじめに存在し、その後タンパク質の有する情報がRNAおよびDNAに伝えられたとするプロテインワールド仮説が主流らしい。

    理事長  井上 健雄

  • どう生きることが自分なのか

     北朝鮮は武装、それも核武装を速めているし、日本は平和憲法のもと攻める軍隊を持たないとしている。
     金正恩の命令一下というか、北朝鮮が「核爆弾落とすぞ!」と言われたらどうする。
     「平和憲法の下、平和主義だ!」と言ったところで、何が起こるか分らない恐ろしい状況となる。
     核を持っている国は、いつも相手に「落とすぞ」と叫び、優位性を保ち防衛している。
     持たない国は、(例)「アメリカさんお願い」となる。
     とすれば、武装したほうが良いのかな、となる。

     しかし1億年以上かけて、武装解除して成功しているものもいる。
     あのかたつむりである。
     裸でいると鳥なんかにすぐやられるので、巻貝で身体をまく方法を持っていたのである。
     一方で、なめくじは一生裸でいることを選んだのである。
     ダーウィンの進化論で考えれば、どちらが進化した形なのでしょう。
     なめくじは、裸でも、殻がないから狭いところに逃げこめるし、カルシウムで殻を作る手間もいらないから、こりゃいいやで、かたつむりの出た3億数千年前から遅れること1億年後の2億年前頃に登場したのである。

     これは大した決断であった。
     鳥より恐い人間にエスカルゴにされることなく、人に厭われ、歩く跡を銀色に光らせて堂々としている。
     武装解除は、素晴しい成果を納めていると言える。

     人間(国)の争いも、武装解除こそが最適解であろう。
     あのかたつむりさえ、1億年かけて進化したのだから、人間の進化にはどれ位の時間を要するのだろう。
     その間に「○○国が××国の属国にされる」とした事態が頻発するようなら、それも悲しい。
     その上、時間をかけるということは、エントロピーを増大させることであり、時間は人を死なせ、構造物は風化し倒され、熱あるものは冷める。
     この法則に対し、時間をかけ何かを願うことは矛盾している。

     カミュが、人はいつも死に向かっているので、明日こそは、来年こそはと願う。これを不条理としている。
     不条理とは、実存主義用語で人生に意義を見出す望みがないことを指す。
     私も若い時(と言っても晩生(おくて)だった高校生の頃)不条理かぶれし遊び倒し、本ばかり読んでいたものである。恥ずかしい。

     今なら、時間の矢はエントロピー増大の一方向に走るとも、その一瞬いっしゅんをかけがえない時間として楽しみ、少しの色気も出して世の為、人の為に働きたいと思う。
     今、NPO活動に喜々として携わっていることが、私の生きる、活きる道だからである。

    理事長  井上 健雄

  • 緑陰に山思う

     緑滴(したた)る。
     清涼感に富む夏山を表現する言葉である。
     こうした時季には、山に入り涼を楽しみたいものです。

    「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しみ、知者は動き、仁者は静かなり、…寿(いのち)ながし」

    論語・雍也篇

     日本には山がある。
     日本人がビシッと立っている為には、背骨である山がしっかりしていなければならない。
     その背骨の健康を、山の達人・智慧ある人、速水亨氏(速水林業代表)の言を聞いた。

     山の維持は、少なくとも50年先を見てお守りするものである。
     これではなかなか企業では面倒見切れないだろう。
     でも素人が考えれば、木を持っていれば毎年自然に成長する、おいしい資産でしょうと。少なくとも今の金利よりいいんじゃないかと。
     しかしモノの値段はグローバル化の中で、外材輸入や違法伐採の流通で、値が崩れ落ちているという話だ。
     1m3の山元立木価格は、1980年に42,927円したものが、2012年には6,856円にまで降下しているという。
     80年比16%。
     時間をかけて山を整備しても、木の価格が1/6になれば、大赤字、と言うより経営である。
     その上、速水氏の山で1万m3(3年分の伐採量である)もの木が一晩で倒れてしまう台風被害も日常茶飯事である。

     こうした山を維持するのは、個人や一企業では大変困難なことである。
     国としてか、世界政府のようなもので山(自然)のあり方を考え、保全しなければならない。
     あの環境破壊の国、中国でさえ北京オリンピックにはFSC認証材を使ったのである。
     日本もそうあって欲しいが、そんな流れではないらしい。
     これだけとれば、どちらが成熟した先進国なのか疑わしい。

     木の知識もその専門家によると、まだまだ未知の領域らしい。
     一般的に、針葉樹の森は山崩れし易く、保水力も弱いという。
     しかし針葉樹、広葉樹にそんな差はないとの事です。
     あるとすれば、それらが生えている地質、水系の方に問題があるのである。
     その上、針葉樹と広葉樹には人間の扱い能力に歴史的な、と言うか天文学的な時間差がある。
     針葉樹は3億年前位に地球に登場して、1億数千年前に種として安定してきたらしい。今540種ぐらいである。
     これに対し広葉樹は、1億数千年前に、針葉樹に遅れること1億年以上たって登場している。そして20万種もある。
     人間は、広葉樹をコントロールできる状態ではなく、それは神の領域だと表現されている。
     つまり進化のステージの真っ盛りらしい。
     恐ろしい程、気の遠くなる時間のとらえ方で山を考えておられる。
     単純にず~と昔から木があり、山があったと思う自分にあきれてしまう。

     グローバル時代と言えば、空間的・距離的にも地球レベルに広がっているのに、企業の収益単位の時間は、極端に短い。
     ファイナンスの世界では、10年ならすごい長期なのである。
     50年を軸とする林業時間は、ケタ外れているとも言える。
     このように考えてくると、現代人が生物や植物と本当に共生する素地があるのか。

     緑陰に書を広げたが、山の深さ、地球の不思議に思考は止まり、唯、畏敬のみが残る。
     人は、深く、広く、自然との共生の中に人類の生存を考えねばならないのである。

    理事長  井上 健雄

  • コラボレーションの心得

     コラボレーション(ここでは組織の枠を超えたものを中心とする)を持ちかけられることが多い。また、コラボレーションの仕組みづくりに参加することもある。
     コラボをしようとする人は、それぞれ掲げる旗への共鳴とリスペクトが必要である。
     但し、各自の旗に夢中になり他の旗を認めないと、それはそれで問題をひき起こすので、十分な注意力が必要である。
     その上、それぞれが閉ざされた組織・仕事にいる人がコラボを頑張ろうとすると、共鳴板の大きさに限定され、お互い響きあわずコラボにならないことが多い。
     もともとコラボは、開かれた頭の人たちの領域であることを弁えたい。

     そこで私は、コラボづくりをしようとする人に、以下の5つの徳を納めることをおすすめする。

    1. コラボで実現したい目的・目標を明確に持っている
    2. 自分にかかわる人たちに対しいつも誠実である
    3. 自分の殻を破る勇気を持つ
    4. 自分のうなづけないことに対しても寛容である
    5. あらゆるケースにおいて礼節を保つ

     そして、コラボ参加者として、いいコラボを欲している人にも、アドバイスがある。

    1. 自己の掲げる旗と周りの旗とを調和させながら(上位)目標を実現させる意欲を持つ
    2. ポジティブ・シンキング&アナウンスメント(何でもいい方に取り積極的に考え、発言する)
    3. アクティブ・リッスン(相手の言うことに耳を傾け積極的に聴く)
    4. ポジティブ・リアクション(相手の言うことにまずYes、その上で少しのButを)
    5. 周りの人々へのリスペクト(会に集う人々を尊敬する)

     こうした条件を考慮に入れた人々が、コラボレーションのパフォーマンスを得ることができるのである。

     このことから分る事は、コラボレーションの為には自分の枠を変えられる、他人の考えへの共鳴力が必要だということである。
     そして一番大事なことは、「強い燃えるビッグピクチャーを持っていること」、それがスタートである。

    理事長 井上 健雄

  • なにわECOスクエア感動中!

    1606今年度、新しい仕事として、「なにわECOスクエア」の運営を受託しました。
    始めはてんや-わんやの大騒ぎでしたが、やっと軌道に乗りつつあります。
    この施設には、棚田の水田や畑、なすびや砂糖黍、おいも…、蓮池、河骨(こうほね)、野草広場や雑木林…。
    不耕起で古代米への挑戦やなにわの伝統野菜等々。そうそう、鶴見の蓮根はとてもおいしいんですよ。
    鶴見緑地の一隅に自然が一杯。
    青サギさんはじめ、いろいろな鳥さんも沢山訪れる憩いの場。
    生物多様性と農事とのうまいバランスを保ちながら維持したいと考えています。

    田植え(6/12)には、子供さん連れのご家族、エコボランティアさんスタッフ等が80人以上、みなさんが泥まみれになりながら楽しく苗をうえました。
    小さなお子さんが「どろが楽しい~~」などと。
    除草剤など使わないので、草引きもお願いしております。堆肥づくりもしています。
    残念なのは、設備の老朽化か何かで水の循環がうまく行かず、植物の成長がちょっと心配です。

    そんなこんなで今年の夏は、なにわECOスクエア三昧です。
    最も暑い夏と予測されていても、へっちゃらです。
    この暑さをなにわECOスクエアとともに風流に浸って涼しく過ごそうと思っています。
    そこで、清少納言

    1606
    -蓮池にて-
    清楚で可憐な蓮の花

    夏は夜。月の頃はさらなり。
    闇も猶。螢の多く飛び違いたる、
    また、ただ一つ二つなどほのかにうち光りて行くもをかし

    清少納言より少し前の在原業平を語ったとされる伊勢物語。
    プレーボーイ源至(みなもとのいたる)の女車があります。
    夜、家路につこうとする女人の顔を見ようとして、車の中に螢を放って簾(す)越しに顔を見たとある。
    夜目、遠目、傘の内と女性が美しく見える三要素。
    夕闇、簾越し、螢の淡い光。
    この人が本藍染めの花薊(はなあざみ)の柄の本木綿の浴衣を粋に着こなして…
    これで美人に見えないとしたら、なんとする…

    このなにわECOスクエアに出会い、私たちも、また一つの天職に巡り合ったという感じです。
    自然との対話を楽しみ、感動しています。
    みな様もこちらにいらっしゃったら「来た!見た!感激した!」と言われることでしょう。
    藍染め、コットン等、環境学習講座もいろいろあります。まずエコボランティアに登録してください。
    なにわECOスクエアでお待ちしております。

  • 能力の伸びは青天井

     人の能力は、どこかでピークをむかえ、徐々に下降する人が多い。
     良くて平原状態を維持する。
     しかし私は、人はいくつになっても成長すると思う。

     この成長する能力の中身は異なる。
     この例を羽生永世名人の言によると、将棋の強い要素として、三つをあげている。

    一、読む(数手先から何百手の先まで)能力
    二、ひらめき
    三、大局観

     読みは、若い10~20代位までの人々の特権である。
     勉強して、研究して、対局して身につける能力の時代である。
     この能力は、若い頃が最高だと言う。
     そして30~40代になると、読んで読んだあとの総合的判断としてのひらめきが生まれる。
     これが、勝負の決め手となる鬼手とか、○○マジックと呼ばれたりする。

     しかし強く勝ち続ける為には、50~70代にかけて醸成される大局観というものがあるらしい。
     羽生さんがこの能力をきちんとつけると、大変なことになるだろう。私たちは彼の次元を超えた偉業が待ち遠しい。
     つまり能力は、いくつになっても成長するものらしい。

     十五世名人大山康晴さんは、読むのでなく局面を眺める感じで、最善手を打たれたという。
     この大局観は、読みとひらめきの時代を一流で過ごした人に訪れるものである。
     これは他の仕事においても同様だと考える。
     読むとかひらめきは大脳皮質の働きだが、大局観になると大脳の基底核の働きだと言われる。脳の中で動いている所が異なっているらしい。
     つまり答えだけが浮びあがる状態だそうだ。
     だから強い人ほど感性が優れ、美しい棋譜で勝つのである。

     「俺は大局観に秀れている」と自慢する人がいる。
     若い時代に真剣な研鑽を積んでいない人の大局観は、偽である。
     一人ひとりが自分の年代にあった能力に磨きをかけて欲しい。
     そこにいろいろな青天井が待っている。

  • 頭はどこで使う

     この世の中、不思議が多い。
     この間ある雑誌を読んでいたら、30代で!老後に備えた資産形成を始めている人は62%。
     日本って随分心配性の人がいるものだと思います。
     考えるなら保険と資産運用じゃないでしょうか。
     私が学校を出て就職した頃は、自分が亡くなったり、病気にでもなれば(これらクリアーして今も元気にピンピンしてますが)周りに迷惑かけるかと、生命保険に入っただけです。

     資産形成だと言って、戸建てを無理してローンで買っても、役に立つのでしょうか。

    <例>
    土地を1500万で購入
    家を2000万かけて作る
    15年目位に850万のリフォームをする

    そして、20年経ち子供たちも家を出たので都心の小さなマンションへ
    この時、資産の販売代金は土地代の1500万円のみ。
    資産形成は、

    1500万 × 100 ≒ 34%
    1500万+2000万+850万
    つまり投資金の34%しか回収できないことになります。

     考えるべきは、人口動態なりもっと社会に目を向けての対策が必要です。

     家を買う時の制度的矛盾に目を向けてみましょう。
     家を買えば消費税がかかります。
     しょうがないか!でも毎年固定資産税も取られますよね。
     消費したものに尚、税金。
     おかしくないですか。これって矛盾してますよね。
     私ならこう考えます。
     20~30年で建て替えねばならないものならば消費税のみとして、50~100年持つ優良資産なら固定資産税のみという考えです。
     時代は、新築偏重の社会から、長期優良資産形成への変化の過程に入っているんですから。
     従ってこうした声を上げ、主張することが、単なる資産形成に励むより生産性が高いのではないでしょうか。

     政治的発信・行動よりもう少し早いソリューションなら、省エネ化を進めるべきです。
     無断熱の住宅を改修し、断熱構造にすると、省エネはもとより医療費が、年間47,000円下がったというデータもあると聞いています。(cf. 積水ハウス和田勇会長兼CEO(談))

     つまり、家だけを見ていても問題は、解決しません。
     政治、エネルギー、健康などいろいろなファクターの分析、組み合わせに解があるのです。
     そして将来への不安への本当の解は、自分の頭に投資することです。(クレグレも整髪剤やRiUPに金をかけることではありませんよ)

    理事長  井上 健雄

  • 海が危ない されど漁業

    地域おこしを6次産業化で(6)

     私たちは、新資源6次産業化に取り組んでいる。
     農産物から山林の林産物。そして漁業における海苔など、多岐に亘る。
     産品はいろいろあれど、ベースは地域創生であり、地域に事業や職を生みだすものをと考えている。

     北風もピュッと吹きますが、あぁ春ですね。太陽の角度も変わり暖かみを加えています。
     海の中のわかめさんも、これから旬なんです。寒中から春先にかけて生えてくるわかめの新芽、本当においしいんです。
     まず、のりについて始めます。
     ご存知のようにのり養殖は、9月中旬に陸上で採苗(びょう)した網を、10月上旬から海上で育苗開始するものです。
     11月から4月半ば位まで、網を交換しながら生産するものです。

     この養殖の成否のポイントは、秋口からのスムーズな水温低下にあり、養殖ののりの品質を上げ、生産量も増やします。
     しかし、近年の地球温暖化により高水温停滞期が長くなり、のり養殖が苦戦しています。

     つい先程、日経ビジネスの最新号(2016年2/29号)で「のり凶作も原因分らず」という漁協の代表理事組合長の記事があった。
     組合長さんは「ここ40年やっていて、ここまで悪いのは初めてです」つまり不作ではなく凶作だとされている。
     海水温まで1℃位高くなっています。
     千葉の水揚げ量は、7~8億もある漁協における話です。深刻です。
     普通は11月~1月までに7億円位の水揚げがあるものですが、今年は1,000万円ほど。70分の1です。
     240人おられる組合員のうち、10人が今シーズンの水揚げ量0。

     水温が下がらなくても、木枯らし1号が吹けば、暖かい海水も撹拌されて海水温は下ります。
     この木枯らし1号も遅れたのです。
     のり養殖は、経験が役に立ちにくく、海流の蛇行や木枯らしの吹き具合、採苗・育苗の様子など年々変り、1年1年を新入生のように、自然に対処するしか方法がないのです。
     つまり、あまり経験が役に立ちにくい仕事なんです。

     こうした状況で、漁業関係は大変厳しい現実に直面されている。
     そこで、私たちはのりやひじきなどより深い5~10mほどの水深に良く生えるわかめに注目しています。
     そのわかめでも、今十分に活用されていない海草の根、めかぶをしっかり活用する方法を、 新資源6次産業化として取り組もうとしている。
     わかめが成長すると岩についた根の部分近くをめかぶといい、栄養価も高いのです。
     このめかぶ、茎、根の部分が今、十分活用されていません。
     これを、地域(漁協・県・住民)の方々と都市ののりメーカーさんとが組んで、地域に仕事の創出と事業興しと、利用市民には新たな機能性をもったわかめを提供したいと考えているのです。
     灰干しわかめなどもやってみたいなと思っています。
     わかめ、のりなどいろいろお悩みの方は、私どもに一報ください。

    ※千葉県HP「ちばの輝き」より
    1996-2006年の年平均は、1976-1985平均に比べ約1℃上昇している。

  • 生物多様性、ヒトを守り健康をつくる

    植物とは、動物との対比では、草や木のように根があって場所が固定されて生きるものです。
    また、太陽との関係において、光合成する生物を植物といいます。

    この植物は、生き残る為に昆虫や鳥、また菌(病原菌)とたたかう備えとして、いろいろな智慧を持っています。
    植物さんと菌との戦いを見ましょう。
    菌の侵入は、植物の葉の裏の気孔から入ろうとするのが常道です。菌は、エリシターと呼ばれる物質を出して、入り口を探すのです。
    すると植物は、エリシターを感知すると気孔を閉じて、菌の侵入をブロックするのです。
    しかし閉じられたとしても、菌は細胞壁の弱い所から破り入ってきます。
    そこで細胞内にバリケード物質をつくり防御をはかります。
    このバリケード物質の最たるものが酸素です。
    この大量発生は、オキシディティブバースト(酸素大爆発)と呼ばれています。

    菌にしたってもう酸素なんか恐くないものが多くなると、植物は、病害虫の最たるアリさんまで取り込んで、アリさんに住居を与え、花の蜜まで与えます。
    そうするとアリさんは、葉っぱを食べようとする毛虫などを追っ払ったり、やっつけてくれます。その上、宿主に絡みつくツルなども噛み切ってくれるという、強力なボディーガードになってくれるのです。共生です。
    本当に不思議です。

    しかし、これだけでひるむような虫や、やわい菌ばかりではありません。
    そこで、植物は自己の中にいろいろなものを生成し、自己防衛力を高めているのです。
    たとえばミカンの皮にはリモネンという精油成分があります。洗剤にも用いられるものですが、もともとミカンの果実を守るための抗菌物質です。
    お茶のカテキンにしても病害虫から身を守るためのものです。
    人間の体にいい物質として、ブルーベリーのアントシアニンやフラボノイド、ポリフェノールなども本を正せば植物が、我が身を守る抗菌物質なんです。
    それが人間にとって、活性酸素の生成を抑制し、血液をきれいにする。また血小板の凝固を抑制し血液さらさら効果など、人の健康にいろいろと役立ってくれているのです。

    少し強引かも知れませんが、生物多様性が守られた環境そのものに、ヒトは、生かされていると言えます。
    少し安直ですが、『生物多様性を守ることは、凄く大事なことだ』と、申し上げたいのです。

    理事長  井上 健雄