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  • 桜のときを惜しんで【4月】

    清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人みなうつくしき            (与謝野晶子)

    私は、京都で生まれ育っているので、祇園の夜桜のもつ日常を超えたあでやかさに魅了されてきたものである。

    夜桜は、なぜか周りを美しく妖しい異空間に変化せしめてくれたものである。

    しかし、4月も中旬を過ぎる頃になると、心あせり寂しさが募りだします。そう落花が始まります。

    この悲しさは漢詩では・・・

    一片花飛んで 春を減却す 風は万点を飄して 正に人を愁えしむ           (杜甫)

    そう万花がまだ咲いていても、一片の花が散り始めると・・・もう悲しくなって駄目です。

    この花は桃か何かは知りませんが・・・

    そしてもう少しすると薫風が新緑を連れてきてくれます。

    晴日暖風 麦気を生ず 緑陰の幽草 花時に勝る          (王安石)

    初夏の晴れた日に、暖かい風に麦の香り立ちのぼり、緑の木かげ、生い茂る草、これらは春の花にもまさる・・・

    こんなことを言っている中に、紅顔の美少年だった私も、黒い髪に素華(白い花つまり白髪)をふやしてしまっている。しかし私は、素華も良しとしたい。

    こんな風流な日々を送るには、自然のもつ生命力の豊かさに感動した先人の言葉を添えて楽しみたかったのです。

    花との別離を惜しみながら・・・

    風流な一齣です。

    理事長 井上健雄

  • リーダーに必要なもの【11月】

    今の世は、グローバル化、少子高齢化、IoT、AI等々、社会や企業の成り立ちの要因が根本的に変わってきています。嘗て企業や団体にアドバンテージを与えていたものが、逆に企業を倒産の淵にさえ陥らせるリスクになっています。その一番は人なんです。例えば、自分は経験もありスキルがあると思っているとそれは時代に合わないお荷物になっていることもあります。こうした状況に対処するのがリーダーの役目であります。しかも時々に下すリーダーの意思決定は、業績にどういう影響を及ぼすかが分からない中で判断をせねばなりません。

    優れたリーダーは、正しいタイミングで、正しい意思決定ができる人です。

    こうした状況下における、リーダーの指針として、再注目を集めているのが「貞観政要」です。

    太宗、て侍臣に謂ひて曰く、夫れ銅を以て鏡と為せば、以て衣冠を正す可し。

    古を以て鏡と為せば、以て興替を知る可し。

    人を以て鏡と為せば、以て得失を明かにす可し。

    朕常に此の三鏡を保ち、以て己が過ちを防ぐ    (巻第二任賢第三 第三章)

    太宗が述べたリーダーの三鏡をもう少し現代風に紹介しましょう。

    ーの「銅の鏡」です。

    自分の衣服、髪、顔の等を物理的にチェックして、乱れているものを直すということ。

    単に乱れていることは、すぐ分かる訳ですが、そのオケージョンにおけるドレスコードはどうだとか...○○コードを満たしていても、今度は、センス等について、ちょっと鏡を見れば、治まるものでもありません。センスの悪い子が30万円持ってセレクトショップに入って出てきたら...それは心配です。

    第二の「歴史の鏡」となればもっと難しい。

    過去に照らして、未来に対応するものであるから。興亡を学び未来に備える鏡とすることは至難である。

    オットー・フォン・ビスマルクは、『愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ』と言っている。

    愚者とは能力が低い人ではありません。正しい判断ができない人が、愚か者な人で、経験から学びとる人も、賢者です。しかし、歴史から学んでいても正しい判断に至らなければ、愚者になるということです。歴史から学ぶということは、欠敗の確率を減らすことであり、成功を約束するものではありません。

    三つ目の鏡。これが「諫議大夫」です。

    耳の痛いことを進言する人を持ちなさいということです。あなたが会社のトップだとすると、あなたを諌める人は、社外取締役がであったり監査役と言ったところです。もしくは会社を余り知らない若手社員も候補かも知れません。

    しかし、人は弱いものでおべっかばかりを側近で固めてしまうものです。自分に優しいこと言ってくれる人ばかりで固めると、自分を含めグループが組織の負債となってしまいます。5人の側近がいるなら、2人は反対勢力であるか自分を嫌っている人を登用すべきなんです。

     

    大胆にまとめると、自分の器には限界がある。自分の利己心を追い出して、すなおに銅鏡、歴史の鏡、諫議大夫の意見、を自分の器に入れこむことです。こうしたセンスと勇気を持つ人こそが、リーダーと言えます。

    理事長 井上健雄

  • 私の生き方(平成の最後にあたり)【4月】

     それなりに年を重ねてくると、「私は、どういう歴史観を持って生きているか」を問うことがふえてくる。
     私が生きている世界は、資本主義で「右肩上がり」史観である。
     例えばルネサンス期は人間賛美の思想にあふれており、美術史だけを覗いてもラファエロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ジョヴァンニ・ベッリーニ、サンドロ・ボッティチェッリ、ミケランジェロ、ジョルジョーネ、37才で夭折したパルミジャニーノなど綺羅星の如く出て、今日より明日、明日より明後日に夢を抱かせたものである。
     資本主義は、神にすがるのでなく自力成長に目覚めたのです。

     一方で私は、親鸞さんを祖とする浄土真宗の阿弥陀仏の他力本願を信じ往生成仏できるものとしていた。
     この仏教を史観的に考えると人生は死に向かってゆく道であるとする「右肩下がり」史観である。
     仏教は、正法の時代(釈迦の教えが正しく伝わる)から像法の時代(釈迦の教えが劣化して伝わる)そして末法の時代(正しい教えから遠ざかり訳が分からなくなる迷妄の時代)に移ってゆくという考えである。
     現在は末法の時代とされる。
     こう考えると、どうも仏の教徒として、生きることに全賛成する気持ちにはならない。
     こういう風に歴史を俯瞰する見方はあと三つほどあるらしい。

     私の好きな「興亡」史観である。
     地球上の主役は、いろんな事象に応じて変わるとする考えである。
     祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす。
     繁栄することで繁栄の条件を失うという滅びの美学に、感動さえ覚えます。

     四つめの「勢い」史観。
     いわゆる勝ち馬に乗るという考え、日本人に最も多いのかもしれません。
     省エネで賢い生き方だと思いますが、余り与したくありません。

     そして最後に「断絶」史観です。
     大波乱、大革命、大転換、アウシュヴィッツ、広島、長崎…
     もっと逆のぼれば、イエス評価の大転換がありましたね。
     イエスは12人の弟子しかいなくて、1人は裏切り者であった。
     しかしイエスの死後、ローマ帝国によるイエスへの考え方が激変し、今のキリスト教世界が、出現したのである。
     今、全く読めない大断絶が、忍びよってきているのかも知れませんが…
     とは言え、断絶史観は、アウト・オブ・クエッションとしておこう。

     こう書き列ねると、私の歴史観は、「右肩上がり」(期間限定つき2050年位まで)史観の中に「興亡」があるという二史観折衷である。
     こんなんがありかどうか知りませんが、明日を信じて、事業の興隆に力を尽くしていきたいと思います。

    理事長 井上 健雄

  • 1月の終りに…【1月】

     今月も終りに近づいてきました。
     きのう『新年あけましておめでとうございます』と言っていたのに、もう『恵方巻』をどうするかと騒いでいる始末です。
     『あぁ早い』……『それってお年ですよ!』と人は言う。

     しかし年にも効用がある。
     いろいろな出来事や日々の学びにも、余裕ができて、「どんな事柄をも良き発酵に変換する」機能ができてくるのです。
     「歳月は、叡智を作る」です。

     しかしこの叡智は、体力の落ちるにつれて増してくるから困ります。
     叡智も体力もwin-winをと希望しますが、年齢が叡智を生むなら無理な相談となります。
     私は、日々の歩く歩数の基準を1万歩としていますが、その動く時間に本を読み、出掛けても立止り、景色や風に驚き、そしてコーヒーなど、せいぜい7,000歩止りとなります。
     いつもマイナスの3,000歩を抱えることになります。
     歩くことに限らず、いろいろのマイナスを許容(?)する力が、その人の人格となっているのも確かです。

     精神的に辛いこと、厭なこと等のマイナスも「発酵の贈り物」になっているのかも知れません。
     こういう風に、年を重ねマイナスを超えてきたゴールデン世代が増えることは、楽しいことです。
     こうした世代がSNSで情報を発信してくれます。
     そうした智慧を目にできる、ありがたい時代です。
     今の時代に生きていることに感謝すべきです。

     人が紅葉を楽しむのは、花の盛りを終えて、その結果として、見事な紅に染まる姿を自分に重ねているからではないでしょうか。
     サァ!今年も己を染め抜く仕事をしようではありませんか!
     今月もいい仕事ありがとう。

    理事長 井上 健雄

  • 2018年ありがとう、2019年一緒にやりませんか?【12月】

     2018年、みな様には、いろいろお世話になりありがとうございました。
     2019年は、年号も改元されるし、いろいろな変化とともに、本格的なAI時代に突入します。
     新時代に存在できるキーワードは、クリエイティブ・シンキングとパッション、そして誠実です。
     この三つを心に携えて、頑張ります。
     そして、少し哲学的に表現すると、私たちの「仕事が人生に、社会に意味があるかを考え」て、いい仕事、いいパフォーマンスを提案していきたいと考えています。

     来年は創業、17年目を迎えます。
     振りかえって見ればこの16年間、「持続的な地球」をキーワードに戦ってきた日々であったと思います。
     そして、みな様から様々なアドバイスやご指導のもとに、一つひとつの仕事を納めてまいりました。
     本当に「感謝」の言葉しかありません。

     2019年は、当団体の不動のメンバーにも少し変化があります。
     2019年4月より、新体制で臨みます。
     腕に自信のある方、新規参入に手を上げてください。
     人が良くてデジタル能力に優れていると嬉しいです。年明け早々にも入っていただけると、教育時間もとれます。
     一緒に「社会に意味ある一挙手一投足」をなげかけませんか。

     社会は、これからSDGsを中心に、誰もが取り残されない社会づくりに入っていきます。
     こう言いますと「デッカイ課題やなぁ」「何するねん…」とかなりますが、シャープな意思決定が世直しの一石となります。
     例えば、「水道水の飲める日本を残そう!」などです。

    Q;『 世界で水道の蛇口をひねって、そのまま飲める国って何ヵ国あるでしょうか?』

     色んな数え方があるようですが、私は次の答えをとります。

    A;『 15ヵ国です』
    Q;『 えっ、そんな少ししか水道の水が飲めないんですか!』
    A;『 そうなんです。
    だから20xx年にも水道の飲める国、この地域を守りたい。
    その為に、川や海を汚さない。
    魚さんなどの障害になっているマイクロプラスチックなどを川・海・道路等へ出さない。
    その為に陸の私たちはどう考え、どう行動するべきか…
    こんな素朴なことを追及して、ソリューションを社会に残していくのも、SDGsの一つだと思います。
    サァ!一緒にやりませんか?』

     今年も本当にありがとうございました。

    理事長 井上 健雄

  • 傷む資本主義【10月】

    資本主義は何にもまして、運をつかむチャンスがあり、そして何より世界を活性化できる仕組みである。
    しかし今、世界中でこのシステムがうまく動いているとは思えない現象が増えている
    「富豪8人と貧しい人の36億人の資産は同じ」だとBBCニュースが伝えている。
    1%の富豪が82%の富を持っている。
    不均衡極まれりとなってきている。
    もうこれは世界を活性化できるシステムとして、資本主義があるとはいいがたい現象である。いや現象というより、もう世界を活性化できない構造になっているのかもしれない。
    日本にはこれほどの富豪がいるとは思えないが、芸能人とチャラチャラしている人が何千億円もの資産を持っているとか……

    まぁこのあたりは運であったり時代適応であったりするからいいだろう。
    なぜなら知性より運の方が公平だと思うから。ランダム性が大きければ社会がシャッフルされてまた生き返るからだ。

    一方で旧来の仕組みでは、新時代に対応できない事態もいろいろ起こっている。
    たとえば、本屋さんの世界を見てみると、超大手の本屋さんなら15万冊位の本を店頭に並べている。大きいことが競争に勝つキーファクターだったのである。
    こうした状況下において、自分(それなりの有名人としても)の書いた自費出版の本を置いて貰おうとすればそれはたぶん無理だろう。
    しかしオンライン書店なら無限大に近い本を抱えられる。
    電子情報での読書もあるし実際の本もいらないしオンデマンド印刷という方法もある。

    この方が万人にとって読む・出版する機会に恵まれているのかもしれない。
    デジタルアクセスのできるという条件つきではあるが……
    デジタルの世界ではABC分析のA.B.にとらわれることなくCというロングテイルを商売にするという方法でもある。
    そうは言っても、私、個人的にはシアトルやボストン等の旧市街にある本屋が好きである。
    例えば、エリオットベイ・ブックカンパニーは新刊と古書を併せて販売していたりする。
    こんな魅力がある施設もアマゾンのマーケットプレイスに飲み込まれようとしている。
    マーケットプレイスの扱いは3憶5千品目以上とされている。
    本の出品数なら、450万冊を軽くこえるのでないか……
    リアルサイトでは、太刀打ちできない怪物である。
    アマゾンのこの仕組みを支えるのがFBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)というもの。
    これについては後述したい。
    公平な社会を実現することは、こうした状況ではそれ相応の蓄積を必要とし、周回遅れの国や人々にとっては非常に困難になってきている。

    その上、傷みつつある資本主義は、社会的な地位を獲得した人はその有利性を保つ為にあの手この手で現状追認の手を打ちつつある。
    資本主義なのに官の天下りや、外部団体に仕事を下す(表向きは公募の顔をしてとか……)不正で不効率を現存させてしまっている。
    自由な民間の活力を削ぐことが、官の生きる施策として復活しつつあるようである。
    これでは自由闊達な新規参入を認めないものになってくる。
    今、資本主義の直面する課題は、新しい局面を迎えているし、古くからある課題が、またぞろ頭をあげつつもある。
    頑張れ、起業人、自由人、イノベーター……
    私たちは、資本主義を少しでも良くし、国民に、市民に、よりリーズナブルなコストで、高い価値を提供しよう。
    それが持続的な社会というものだ。
    智慧あるブルーオーシャンの創造を進めねばならないと思う。

    理事長  井上 健雄

  • 夏の暑さに負けない -健康3原則版-【7月】

    (健康備忘版)

     気象災害は、気象が直接の原因で発生あるいは拡大する災害を言う。
     この夏は、この言葉を耳にする、目にすることがやたら多い。
     地球温暖化(たぶん…)きわめりと思う。

     しかし、私たちは負けてはならない。
     外界の変化に対して、まず、自分の体をコントロールできることが必要です。
     そう!強い体をつくろうではありませんか。
     健康3原則を、しっかりそれぞれの自分事としましょう。(中味は、これを参考にオリジナル対応ください)

    一、調和のとれた食事
    二、適切な運動
    三、十分な休養・睡眠

     分かりやすく言えば、よく食べ、よく動き、よく眠るです。
     それではまず、調和のとれた食事について記します。

    ①一食500kcal前後

    ・基本構成 主食(炭水化物)+主菜(たんぱく質)
           +副菜(ビタミン、カリウム、ミネラル、食物繊維…)

    ②野菜 150~250g/食(大きめのカット)(旬を優先)
    ③ごはん 100g/杯(朝or晩)
    ④塩分 3g/食
    ⑤精製ものから → 無精製のものへ

    ・白米 → 玄米 < 発芽玄米(注)農薬
    ・白砂糖 → 黒砂糖
    ・パン → 全粒粉(胚乳だけではもったいないぞ)

    ⑥腹8分目
    ⑦良いお通じ

    ・食物繊維 → 野菜、きのこ、海藻
    ・乳酸菌 → キムチ、ヨーグルト
    ・オリゴ糖 → きのこ、バナナ、ごぼう

     次に、適度な運動についてのコメントです。
     週に23エクササイズを目標に活動して下さい。
     私は、6メッツの運動を10分間/日やることを目標としたくやっています。
     その為に、歩きと階段上りなら誰でもすぐ出来るでしょう。
     (注)自分で決めることです。年齢、体重、疾病、その日の疲れ…を考慮して。

    ①8,000歩/日 前後
    ②階段を上る 30階(480段)
    メッツ 活動内容 1エクササイズに
    相当する時間
    3 自転車エルゴメーター:50ワット、とても軽い活動、ウェイトトレーニング(軽・中等度)、ボーリング、フリスビー、バレーボール 20分
    3.5 体操(家で、軽・中等度)、ゴルフ(カートを使って、待ち時間を除く) 18分
    3.8 やや速歩(平地、やや速めに=94m/分) 16分
    3.8 やや速歩(平地、やや速めに=94m/分) 16分
    4 速歩(平地、95~100m/分程度)、水中運動、水中で柔軟体操、卓球 15分
    4.5 バドミントン、ゴルフ(クラブを自分で運ぶ、待ち時間を除く) 13分
    4.8 バレエ、モダン、ツイスト、ジャズ、タップ 13分
    5 ソフトボールまたは野球、かなり速歩(平地、速く=107m/分) 12分
    5.5 自転車エルゴメーター:100ワット、軽い活動 11分
    6 ウェイトトレーニング(高強度)、ジョギングと歩行の組み合わせ(ジョギングは10分以下)、バスケットボール、スイミング:ゆっくりしたストローク、階段を上がる 10分
    6.5 エアロビクス 9分
    7 ジョギング、サッカー、テニス、水泳:背泳、スケート、スキー 9分
    7.5 山を登る:約1~2kgの荷物を背負って 8分
    8 サイクリング(約20km/時)、ランニング:134m/分、水泳:クロール、ゆっくり(約45m/分) 8分
    10 ランニング:161m/分、柔道、空手、キックボクシング、テコンドー、ラグビー、水泳:平泳ぎ 6分
    11 水泳:バタフライ、水泳:クロール、速い(約70m/分)、活発な活動 5分
    15 ランニング:階段を上がる 4分

     私は6メッツと頑張ってやってますが、皆さんはメッツ表をつけていますので、まず自分のメッツを少なめに選び始めてください。

     最後に、睡眠について書いてみましょう。

    ①6~8H ◎眠りを迎える「クールダウン・タイム」をつくる
    ②早寝、早起き(、朝ごはん) ※出来る限り定時
    ③ゆっくりお風呂 (ハーブなどいい、心身リラックス)
    ④ストレッチなど軽い運動
    ⑤快適な寝具類

    私は冬・夏を問わずふとん乾燥機を活用しています
    ◎①に書いてますが、寝る為のいい儀式をつくっておくと、(ex. アロマを薫く、音楽、読みなれた本…)その儀式に入れば眠くなりますよ。

     この暑熱にも負けない体をつくり、秋に向かっての前進に備えようではありませんか。

    理事長  井上 健雄

  • 「本当に会話する」とは -匠の技で貝語を理解する-【6月】

      会話とは、二人もしくはそれ以上の主体が、主として言語の発声・手話などによる意思表示によって、共通の話題をやり取りするコミュニケーションとウィキペディアが定義している。
      会話の相手が首脳で、公式的な会話を会談という。

      先ほどのドナルド・トランプ大統領と金正恩労働党委員長との顔合わせによる会話は、どう表現するのだろう。
      お互いが、成果の高い首脳会談と呼んでいるらしいが、私はそれは違うと言いたい。
      最大の争点となった「非核化」が共通の話題であった筈が、何一つ進展ない。
      非核化の定義もなく始められ、お二人の頭、独りよがりの理解でお互いうまくいったと言っている。
      良いディール(取引)だったと思う人、うまく騙せたわいとほくそえむ人…已んぬる哉。
      今後に禍根を残した腫瘍怪談である。

      こうしたひどい会談に対し、いい会話もある。
      「貝(バイ)リンガル」である。匠の技をIT・AIで貝語を知る取り組みである。
      三重県の英虞湾は、真珠養殖発祥の地である。
      宝飾品大手のミキモトの創業者 御木本幸吉が、1893年、真珠の養殖を初めて成功させている。

      この真珠の産みの親、アコヤ貝の強敵は、赤潮である。
      その為に海を見張っておれば良いかというと、目で確認した時はもう遅いのである。
      そこでアコヤ貝の貝殻にセンサーをつけて貝の開閉を計測し、赤潮や貧酸素化、硫化水素の発生を観測する。
      アコヤ貝のもっとも警戒すべきは、ヘテロカプサと呼ばれるプランクトンが引き起こす赤潮である。
      このプランクトンが発生すると、アコヤ貝は、平常は1時間に数回、開閉するだけなのに、頻繁に開閉を行うことが分り、貝語が分る「貝(バイ)リンガル」が実用化されたのです。
      大自然、海の変化により、アコヤ貝がどんなストレスを感じ、どう動くかをこの貝リンガルが私たちに海の環境変化を知らせ、汚染海域(深度も含め)からの避難を可能にし、被害を抑えることに成功している。

      アコヤ貝さんの命を守り、損失も抑え、事業を安定的なものにさせたものは、人の頭と、生物の生きる力をIT・AI等を活用し読み解いたことにあると思います。
      難しく表現すると、ものづくりの未来としてデジタル・トランスフォーメーションが様々なところで稼働し始めてきている。
      先の米朝会談のような不毛の対話は、どこにでもあることです。
      それぞれの組織、事業所において、本当に会話が成立しているか、心せねばなりません。
      事の前に情報を収集し、分析し、PDCAを組み立てていなければなりません。
      会話がもの事を前進させ、二人もしくは取り巻く環境のモラール・生産性等を向上させたかが指標となるでしょう。
      会話を怪話とせず、お互いの生産性を高める会話(快輪)としたいものです。
      今月もありがとう。

    ※ヘテロカプサ:ヘテロカプササーキュラリスカーマ

    理事長 井上 健雄

  • 金で買えないもの【4月】

     ローマ法王からいただく「お守り」(これは法王への謁見時などに賜るもの)がある。
     これは凄く価値の高いものであるが、売買できない。
     これは、カトリック教徒にとって「祝福」であり、それをお金で人に売ると罪となるものです。
     第三者がそれを有効に持てるとしたら、見返りなしにもらうことになります。

     修士とか博士等の「学位資格」も本来、金では買えません。
     また、当り前のことですが、人間関係もお金では買えず、お金で買えるとすれば、それは、友人とか仲間ではなく、取引先となります。

     お金で買えないものを三つ記したが、まだまだ沢山あります。
     仕事のやり甲斐とか、新しい仕事の創造とかもお金では買えません。

     一方で、この3ヵ月(H30/1~H30/3)で1兆1167億$(120兆円)もの金額がM&A(合併・買収)に費やされました。
     これは、リーマンショック以来の1兆ドル越えで、過去最高記録である。
     金融緩和がこれから終りを迎え、金利がこれから上るだろうとの読みもある。
     日本でも、武田薬品は自社の時価総額以上のアイルランド製薬大手のシャイアーを6~7兆円で買収に動いている。
     また、富士フィルムホールディングスの米ゼロックス買収に乗りだして、これに反対するアクティビストに苦戦をしている、等…

     金で手に入れたものが買収した企業の躍進の種となるか、厄介物となるかは、紙一重。
     M&Aは社内で育てる、創りあげるという時間を金で手に入れるものであります。
     この安直な成長は、資本主義時代のジョーカーでしょう。

     しかし、私たちは手作りにこだわり、営営役役の道を歩いています。
     この道には、お金で買えないものをいろいろ授かり、豊かなんです。
     そろそろみなさんの能力総額に見合った爆発を手に入れたいものです。
     今月もありがとう。

    ※アクティビストは発表されたM&A案件に反対し、より好条件を引き出して売り抜ける等の行動をとる投資家

    理事長 井上 健雄

  • プロジェクトを終えて【3月】

     この年度末は、大変忙しいものでした。
     いろんな事業の総括の目白押しでした…
     このまとめの戒めを二つ記します。

     一つ、各プロジェクトを担当するということは、まず最終目標とするソリューションをイメージして、各プログラムを展開することになります。
     そして、ソリューションを単なる描いた絵とすることなく、一人ひとりにとって行動を伴うものとする具体性が必要です。
     つまり、ビッグピクチャーを見せるとしても、それぞれの段階での行動に移せるスモールピクチャーをしっかり提案することが大事なんだということです。

     もう一つ重要なことは、年度を通しての事業となるので、日々の、月々の、プログラムや写真やアンケート等を、しっかり報告書形態でマンスリー毎に記録していくことです。
     仮説をもとに各プログラムを展開しているのだから、その検証を一つひとつしっかり記録し、次のプログラムに活かし、展開することになります。
     そして、思い描いた通りにならないことも、いろいろ出てくることもあります。
     それはそれで成功です。

     「予定調和でない」ということが、現実を見る、語るということになるからです。
     こうした現象をスモールピクチャーとして提示することが、プロジェクトの一つの成果となります。

     今、記した二つのポイントを纏め、整理することに追われた2~3月です。
     その間に提案事業を2~3本抱えて運営していたのだから、私たちの能力はなかなか侮りがたきものです。
     自信を持つべきです。

     一方で、最後の最後まで総括に振り回されたのは、日々の準備不足があったことも否めません。
     自信と反省の2~3月でした。
     来期はこの反省を生かした日々を進みましょう。
     健康でこの期を終えられたことを、みな様に感謝します。
     ありがとう。

    理事長  井上 健雄

  • 新改元の情報を前にして【11月】

    おほぞらに そびえて見ゆる たかねにも
    登ればのぼる 道はありけり -峯-
    人もわれも 道を守りて かはらずば
    この敷島の 国はうごかじ -国-
    明治天皇
    世のなかも かくあらまほし おだやかに
    朝日にほえる 大海の原 昭和天皇

     天皇の御詠はおおらかで、品があり帝王の香気にあふれている。
     素晴しい。

     明治から大正、昭和、平成と時は移り、新時代は2019年5月1日改元となる。
     改元は、どういう時代を創りだし、変化に満ち満ちたチャンスを持ってきてくれるだろう。
     楽しみです。

     しかし、チャンスの一方で、旧来通りだと一層、脱落が早まってしまう。
     落ちる時代でもあります。
     そして先が不透明で不確実な時代こそ、変化対応より変化創造が求められています。

     改元を前に私たちは、変化創造することが必要です。
     時代の求める課題と自己の信念の結びついたものこそ、挑戦すべきものであり、チャンスです。
     恐れず邁進しようではありませんか。

    理事長 井上 健雄

  • 万物流転の筏(いかだ)から読みの舟へ【10月】

     この10月は、選挙があったりしたので、少し世論に触れてみます。

     先日の衆議院選挙で、希望の党が失望の党になったり、我が道を行かざるを得なかった立憲民主党が伸びたりしましたが、最後は、与党で2/3越えと「大山鳴動して鼠一匹」に終りました。
     社会は、今の与党の動きを是としたのでしょう。
     安倍首相は、外交的にはそれなりの活躍ですが、少し右翼的です。
     経済政策は方向の修正が必要だと思います。
     少なくとも驕りを戒め、謙虚に政策に向かって欲しいものです。

     翻って私たちも、いかばかりの思いと行動をしているのだろう。
     10月ももう終ります。
     あと2ヵ月で、新年になるなんて、吃驚です。
     万物流転するという時勢の危うい筏に乗せられて、流れているかのように(急流に入り濡れそぼったり、岩礁に当たったり…)多難な日々を過しています。
     忙しいに感(かま)けて、心を亡くしていたのでしょう。
     正常心をもって2ヵ月を過し、時勢の筏から読みの舟に乗りかえて、いい新年に備えようと思います。

     これまで春の花見、秋の月見を覚えずに、過したので、晩秋の紅葉は、しっかり楽しみたいのです。
     紅葉が美しい楓(かえで)、桜、柿、銀杏(いちょう)、漆(うるし)、櫨(はぜ)…
     それぞれ赤・黄など濃淡とりまぜて、山容を色どります。
     とすれば冬の雪見の為に遠出も厭いません。

     少なくとも季節だけですが、先を眺めました。
     これだけでも次の景色が目に浮かび、明日の力となります。
     時代の読みとは、ある種のタイムトラベルであって、うまいトラベルは最高の娯楽となります。
     いい旅の為に来年を読んで、いい仕事、いい仲間でケミストリーを創り、いい成果を築きたく考えている日々です。

    理事長  井上 健雄

  • 未来か、今か【9月】

     地球に現れた最初の脳は、5億年前。4億3000万年かけて徐々に進化した。
     そして7000万年かけて、人類の原型脳(700g)にまでなった。
     この脳が、たったの200万年で倍以上になった。
     他の脳の重さは変らずに、前頭葉と呼ばれる部分だけが大きくなったのである。
     生物の種の一つとして、人類が生き残る術として、手に入れたもの、それが前頭葉だったのである。

     このことにより、人類は、「現在」から「未来」へ脱走し始めたのである。
     この脳は、物事が起る前に、未来における結果を予測することができるようになったのである。

    • もうじき日が暮れるから家に帰ろう
    • あと○○○で寒い日(冬)がくるから、今の間に食べ物を貯蔵しよう
    • 隣村で凄い乱暴者がリーダーになったので、境に塀をつくったり武器を用意する

     今、私たちの周りで生きている人類は、こうした状況を生き抜いてきたのだから、未来への洞察を持っている。
     つまり先を読み状況をコントロールする能力を持った人たちが、現在の人々なのだ。

     しかしこの能力はクセ者でもある。
     人によると先を読み悲観的になったり、攻撃的になったり、引きこもったりして不適応をいろいろ起こしてしまう…

     それを防ぐために、「今、ここにいろ! Be here now.」が解決策として提案された。
     ハーバード大学心理学の教授が、インドに行ってグルに会い、悟った境地がこれである。
     この考えを是とするか否とするか、それぞれの状況の中で見つけ出すものであろう。

     読めない未来の為に悩むのは、賢明ではない。
     Let it be.   ケセラセラ   風車 風が吹くまで 昼寝かな(広田弘毅)
     しかし読めない未来を読めないままに、ポジティブな夢を持って前進することは美しい。
     未来を今の活動に織り込んで、どんどん美しい成果を創りだそうではないか。

    理事長 井上 健雄

  • オコゼ【8月】

     先日、内閣改造(H29年8月3日発足)があり、新農林水産大臣 齋藤健氏が面白いことを言っておられた。

     彼によると、カツオ(鰹)は弱い魚らしい。
     水槽に入れるとすぐに死んでしまうことが多い。
     しかしこの水槽にオニオコゼを入れてやると、カツオは長生きするらしい。
     私たちがオニオコゼを見ても、ギョッとする恐ろしい顔をしている。
     カツオさんも緊張を強いられて、いいストレスとなり長生きするらしい。
     私は農林水産省のオニオコゼとなりたいと述べられた。

     面白い挨拶である。
     気に入られたいとかの変なリップサービスをするよりずっといい。
     農林水産省のカツオ君、カツオさんたちよ、緊張の中でいい仕事をして欲しい。

     例えば、カツオの話が出たので、水産についての漁業生産高を見てみよう。
     1984年1,282万トンであったものが、30年で2014年479万トンと、1/3に激減している。
     これが一つの会社としたら、立ち行かず倒産となるだろう。
     しかるに、漁獲量の減少について、漁業者は温暖化のせいだと言うし、漁協は国際情勢が悪いと言い、水産庁は海外勢力の乱獲だと、お互いが責任転嫁をしている。
     またその日本の中でも、例えばエビ籠漁と底曳き網漁の調整もできない。前者は知事認可であるし、後者は大臣認可となっている。
     こんなことで、日本の漁業が将来に向かって立てるのか。
     世界で独り負けの日本の漁業よ、どこへゆく。
     農業の将来もどうなんだろう?

     さて、こうした問題にオコゼさんは、どう立ち向かうのか楽しみである。
     頑張れ!オニオコゼさん!
     頑張れ!カツオさんたち!

     私は、上品なのでオコゼにはなれない。
     しかし、ボヤーとしていたらオコるゼ。

    理事長 井上 健雄

  • 三鏡【7月】

     「貞観政要」というものがある。
     唐の2代皇帝太宗・李世民の言行録で、為政者のバイブルとも言われるものです。
     そこで語られる三鏡について述べてみたい。

     一、自分の姿、形を整える姿見があります。
     二、未来、将来を考える鏡として歴史があります。
     三、組織のリーダーが組織をしっかり運営する為に、人という鏡があります。

     一番目の鏡なら、朝起きてから何度も見ていますね。
     しかし服装などは本来でなく、自分の目が静かに澄んで強さを持っているかを確認すべきでしょう。
     二番目の鏡は、時代も、人も、場所も、気候さえ変わる歴史を鏡にするには、万古の書物の渉猟と自分の現在の状況をよく把握した上で、深い哲理による洞察が必要です。
     三番目も、人の意見を聴くということは簡単なようで難しい。
     だから「相手という人」を考えずに、自らが相手の人に誠実であるかを問い質すことです。
     そして考えるべきはその人の「言」であって、力量ではありません。
     ほんの少しでも良いリーダーの為に三鏡をしっかり学びたいものです。

    理事長  井上 健雄

  • 花を愛で自然と共に…【5月】

     この間「梅」と言っていたのに、桜は濃い緑の葉を繁らせ、つつじも終ろうとしている。
     3ヵ月も何をしていたのだろう。
     自然界の花を愛で時を過ごしていた訳ではなく、人間界でバタバタしていただけである。
     気がつけば藤(金ぐさりとも)が自慢げに黄色の房を垂らし、あじさいは既に装飾花をつけている。
     花さんたちは何と健気なことだろう。
     ヒトは、何かにかまけていても、自然界は、なんとか四季の秩序を保っている。

     人は自然の理(ことわり)に則って動いていないのだろう。
     思い出して花見などすることがあっても。
     自然を忘れていることが多い。
     そうすると自然は、大雨や続く干天、ひどい寒さ、煮えかえる暑さと、どんどん人にやさしくしなくなる。
     この現象にもう逆らいようがないと、適応ということになったらしい。
     一頃は、温暖化緩和と言って省エネを中心としたCO2削減をメインにしていたものが、もう駄目と適応となったらしい。
     地球が、繰り返し発する警告を無視せずにきちっと受け止めることが必要です。
     こうした意味において、自然への畏敬の念をもって生物多様性を考えることは、その一歩となりましょう。

    理事長 井上 健雄

  • 閑話休題 -梅-【2月】

     家に今、紅梅が咲いている。可憐で凛然としている。美しい。
     楚辞に梅なく、万葉に梅あり、と私は言う。

     楚辞は戦国時代(前343~前278年頃)に屈原とその後継者がまとめたものである。
     不思議である。
     漢の宮廷には、奇花異木3000余種を上林苑で栽培していたのに…
     そこでは梅だけでも猴梅(こうばい)、朱梅、同心梅、紫葉梅、紫華梅、麗枝梅、燕梅と7種類もあったとされている…

     日本では万葉集に梅の歌は119首もあり、萩(142首)についで多く、いかに日本の庶民から宮廷人までに好まれたかが分る。
     梅は花を眺めるだけでなく、挿頭(かざ)しにされたり、手折りや盃に浮かべたり、袖に扱入(こき)れたり、いろいろな使い方がされてきた。
     なんと優雅のことでないか。
     梅の代表歌は、いろいろ説もあるが、私は

    折りつれば 袖こそにほへ 梅の花

    有りとやここに うぐひすのなく   よみ人しらず(古今和歌集)

     ちょっと抒情に浸ってみました。
     私は、春が来たから梅が咲くのでなく、「梅が咲くから春がくる」という感覚派ですから。

     みな様、花粉の飛ぶ前に梅見に興じてみませんか。
     新しい自己が、香り立つことになるでしょう。
     御身大切に。いつもありがとうございます。

    理事長  井上 健雄

  • 経路依存を見直す

     仰(の)っけからで恐縮ですが、質問です。

    (状況) まずあなたは絵画ファンで、絵の価値について一家言を持っています。
    それなりに裕福です。
    数年前、一つの絵を200万円で買い、最近の芸術マーケットが良いのか、400万円になっているのを発見しました。
    (質問) あなたが今この絵を持っていないとしたら、さて400万円出してこの絵を買いますか?

     客観的な正解はありません。
     Yes、Noどちらをお応えになっても結構です。
     解答  □Yes  □No  さてどうでしょう。
     Noだとしたら、あなたは、今の絵を持ち続ける意味がありません。あなたは自分のポジションと結婚してしまっているのです。
     Yesなら、あなたは経路依存性に引きずられずに、合理的な意思決定ができる人です。
     経路依存とは、過去のアイデアや信念に影響され、新しい現在を正確に捉えきれない状態を言います。
     経路依存、これはこれで大事なことですが、一方で時代や周りの変化についていけてないことを表すことにもなります。
     いつもいつも合理的な意思決定できる人は、扁桃体に異常があって、愛着という概念が損なわれているのかも知れませんが…
     この絵画と同様に、仕事もそういう所があります。
     怠け者たちに囲まれて仕事をしてきた人が、知恵ある働き者の集団に入って見ると、自分が単なる凡人でしかなかったり、お荷物かなぁとがっかりしたりします。
     つまり経路依存に陥りやすい人は、新しい世界では使えない人になります。
     新しい場所で新しい仕事をしっかり遂行できる努力を払うことが出来る、これが使える人の条件です。

     私たちも経路依存に陥っていないかしっかり考えるべきです。
     その指標は、前年を超えるパフォーマンスを残せているかにあります。
     いつも新鮮な目で、新しい絵画、新常態に対峙しようではありませんか。

    理事長  井上 健雄

  • 雨降って地弛む ~いい意味での正のフィードバックをつくる~

    『雨降って地弛(ゆる)む』オイ!オイ!『雨降って地固まる』じゃないのか?
     いやいや、これはアラビアのことわざで『約束は雲、達成は雨』というものの一種なんです。日本のように年間1,500~2,000mm降る所とは考え方も違うんですよ。
     日本に近いのは、英語にある『Storm makes oaks take deeper root.』(訳)嵐が樫の木の根を一層深くする。

     日本の現状も最近は、雨が降ると特定場所への集中豪雨となることが多く、土砂崩れ等、地弛むによる被害が増えています。
     世界を見渡すと、雨の恩恵からできた川も、水不足により上流と下流や支流における水の取りあい紛争が始まっています。
     これが「偏在」(maldistribution)と言われるものです。
     温暖化なんでしょうね。悪分布が広がっています。

     北の北極圏において、アイス・アルベド・フィードバック効果により、全地球の2倍のペースで気温が上がっています。
     アイス・アルベド・フィードバックとは、氷で覆われた地表なら太陽光85~90%を反射しますが、氷が解けて海になると10%しか反射しないんですよ。
     つまり、氷が解ければ解けるほど気温が上がるという正のフィードバックが起こっているんです。

     そしてカナダの農民にとって、農作物の栽培期が年に2日延るという恩恵を受けています。
     また、北極海の氷が解けると、北極海を渡る北西航路が出現し、領土・領海の権利争いが起ころうとしています。
     パナマ運河の代替航路として、北西航路の現実味が、増してきています。
     温暖化によるアイス・アルベド・フィードバックが、北半球の経済を押し上げるというから、驚きです。
     つまり温暖化は、地球全体を危機に陥れ窮乏を招くものですが、ある地域においては金になるということです。
     温暖化でまず金を儲けたのは、アル・ゴアであろう。『不都合な真実』で4,900万$もの金銭的収入を得たとされる。少し皮肉ですが…
     北極海には世界の石油とガスの未開発資源の22%が眠っているとされるから、氷が解ければ解けるほど湧き出す石油、露出するレアメタルとなるのです。
     温暖化という地球の不幸は、ある国々にとって経済的・軍事的等の目的にとって、蜜の味でもあるのです。

     先程のイギリスのEU離脱Brexitは、ある人にとってはHappyかも知れないが、一方ではRegrexitと言われる後悔している人も大勢います。
     現代社会は、どれが正解かは決定後の行動で正を証明する以外、道はないのかも知れない。
     とすれば、私たちは何事につけても、決定後の確かなアクション、行動により、しっかり成果を創りだしていくことにあります。
     私たちも『約束は雲、達成は雨』を求められています。
     しっかりパフォーマンスを創りましょう!

    理事長 井上 健雄

  • 夏のおもひで

    夢はいつもかへって行った
    山の麓のさびしい村に
    水引草に風が立ち
    草ひばりのうたひやまない
    しづまりかへった午(ひる)さがりの林道を …
                    立原道造「のちのおもひに」

     夏になると、昔が帰ってくる。
     昔々であるが、子供の頃の私は、母の故郷によく帰っていた。
     そこで、風通しの良い広い座敷で昼寝などをしてボーとしていると、立原道造の詩がやってきて、現実感の乏しいロマンチズムに酔っていたものです。
     それらの一つが上の詩です。

     日本の四季は、いいものです。
     夏に限らず季節毎の思い出を必ず連れ帰ってくれ、現在を豊かにしてくれます。
     思い出の数々が、人生の意味、深さをくれますし、少しばかりの後悔まで。

     ひょっとしたら水引草があるかと、自然体験観察園に行くと、どうも見当らない。残念。
     植物を見分ける目が育ってくると、身の危険にも敏感になります。
     この間、道路の端に牧場からの脱走兵ならぬ、脱走草を見つけました。カモガヤです。
     これは危険です。花粉アレルギーの人にとって、要注意です。
     かれら(彼女らも含め)が牧場にいたら、牛さんも牧場主も喜ぶパートナーです。
     かれらが牧場にいれば、牛さんに食べられてもすぐに再生してきます。
     なぜなら生長点が株元にあり、先から食べられても食べられても再生できる構造なんです。
     その上、葉は食べにくいよう、かたい繊維質を発達させています。
     しかしそこは牛さんも負けずに、四つの胃で対抗しているのです。

     そこでカモガヤさんは、牧場に飽きたのか脱走して、都会の道端に出てきたのです。
     もともとイネ科の植物は、草食動物に対抗して進化してきたのです。
     つまり都会は、天敵の牛さんもいないから大成功です。
     その上、アスファルトや建物で土が少ないので、生存の為に沢山の花粉をまきちらかすのです。これが困りものなんです。
     私のように花粉、特に杉、檜、カモガヤに敏感な人間にとって、最悪です。

     しかし彼女(かれ)の身になれば、それぞれが持場でしっかり暮らせる風土が必要なんだと思います。
     カモガヤさんには、牧場に帰って欲しい。
     日本の牧場主さんが、しっかり牧場経営できる環境も、私たち一人ひとりがどう考え、どう行動するかにかかっているのでしょう。
     嗚呼(ああ)地球環境です!

     追憶は、アナログ的に、対策は、デジタル的に決めてみました。
     いやどうも…アナログ的ですかね。

    理事長 井上 健雄

  • 暑さに健康を考える

     この夏は暑い。
     梅雨だと言うのに、雲間からの日ざしも強いし、雨が降っても温度が下らない。
     熱中症注意報も連発されそうです。

     この暑さにむけて「健康」、「医療」を考えてみよう。
     「健康」の定義として、WHO(世界保健機関)は『健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない』としている。
     つまり健康は、一度成立したらそのまま健康かというと、そうではない。
     その状態を維持する努力により、動的な健康を保っていくことになるのです。

     従って現代の健康観は、「キュア」治療する・治すから、「ケア」注意する・対策をとるとかへパラダイムシフトしています。
     つまり健康を高め強化する要因に着眼し、それをサポートし強化をめざすことがポイントです。

     もっと端的に言えば、客観的健康から主観的健康へとなるでしょうか。
     心の健康(主観的な健康)が大事だということです。
     これはカナダの心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念で、「セルフエフィカシー」という。
     エフィカシーとは、自分が適切な行動を成し遂げられるという予測や確信感を指す。
     その為に、病気をやっつけることより、病気にならないよう健康を保つ行為に重点が移ってきているのである。
     転ばぬ先の杖なんです。

     また、医療の最先端ではIn-Body Hospitalなどというプロジェクトが進行中である。
     つまりナノサイズの「スマートナノマシン」を体内に入れて、がん組織等を個別攻撃する仕組みだ。
     昔、SF映画の「ミクロの決死圏」を見て驚いたものだが、そうしたものが現実化しようとしている。
     病気をやっつける現代のキュア作戦「トロイの木馬」である。

     私は「ケア作戦」でこの夏を乗りきりたいと考えています。
     この夏のむし暑さは別格ですね。
     そこで、ケア作戦の一つとして、食べ物を紹介しましょう。
     ゴーヤチャンプルです。ゴーヤでビタミンCを摂り、豚肉でビタミンB1、鉄、カリウム、リンなどで疲労回復させましょう。
     もっと疲れているならトウガラシを入れましょう。胃液の分泌、内臓を温めてくれ、食欲を増進させてくれます。
     食が細くなり食欲が湧かない時には食事前に梅干し、レモン汁などでクエン酸効果で、「食事をおいしくクエるン」ですとなります…

     下手な駄洒落も出たようですので、みな様「健康の主観的維持」にそれぞれワガママに対処され、この夏も健康でお過しください。

    理事長  井上 健雄

  • 安全の思想

     今となれば10数年前だが、六本木ヒルズ54F森タワーで痛ましい事故があった。
     回転ドアに挟まれた子供さんが亡くなられた。
     あのタワーの回転ドアは2.7tの自重があり、ドアの挟み力は8000N(ニュートン)もあった。
     子供の頭なら1000N、大人でも2000Nの力を受けると致命傷となる。

     この回転ドアは、制御安全の手は打たれていた。
     センサーは足元と天井に取り付けられていた。
     しかし子供が前傾姿勢で入ったため、足元センサーは作動せず、また天井センサーは地上より120cm以上のものに反応するよう設計が変更されており、117cmの男の子は感知されなかったのである。

     天井センサー設定に問題があったとしても、事故は起こるべくして起こったと言える。
     なぜなら、挟み力が1000~8000Nもの殺傷力を持った回転ドアそのものが問題だったのである。
     この回転扉のもとは、オランダのブーンイダム社で、日本でブーン・タジマという新会社が設立され、日本にやってきた。
     しかし会社の解散などにより、当初の安全仕様の思想が抜け落ちてしまったのである。
     つまり重厚感や耐風圧強度を出すために、骨材に鉄などを使い、重くなったのである。
     もともと軽く設計されて本質安全に応えていたものが、センサーによる制御安全に取り変わったのである。
     制御も大事だが、本質安全の軽量化を貫かなかったことが、大事故となったのである。

     企業等は、制御安全だけに頼らず、本質安全に取り組むべきである。
     日本において、1960年から子供の死亡原因は、ず~っと不慮の事故が第1位なのである。
     子供の好奇心には、ちょっとやそっとの制御安全で防ぐことは困難である。
     勿論親御さんの注意義務があるとしても…

     最近、ベビーカーが電車のドアに挟まれる事件が起こっている。
     ベビーカーの車輪を挟んだまま電車が出てしまっている。
     電車のドアは吊りドアであり、上が締まれば赤ランプは消える。
     ベビーカーの車輪が挟まった位では、赤ランプはつかないのである。
     ベビーカーメーカーとしては、電車に乗る時はベビーカーを使わない様にと説明している。
     しかし現実に事故が起こっているのであるから、電車のドアのあり方を変えよということはすぐには無理であり、ベビーカーメーカーが対処すべきなのである。

     たぶんこうしたちょっとした事故を放っておくと、ハインリッヒの法則(1対29対300)のように、300のヒヤリとしたミスがあれば29の中事故があり、29の中事故のあとに1の大事故が発生するという恐ろしいものがある。
     世のリーダーたる人々は、こうしたことをよく弁えて、小さなヒヤリから手を打つべきなのである。

    理事長  井上 健雄

  • エッセンシャル思考

     私たちは、いつも多くの仕事と使える少ない時間を持っている。
     それなりの仕事をしているビジネス・ヒューマンは、誰もがこうした状況に置かれている。
     この状況において、せっせとパフォーマンスをあげていく人と、仕事に溺れてどれもが不十分になっている人がいる。
     何が違うか。
     それは、トレードオフ思考ができるかできないかである。

     トレードオフとは、あちらを立てればこちらが立たず、両方を立てれば意味がない、そんな関係である。
     最も優先順位の高いものを選ぶこと、それが大事なのである。

    1. 高い給料 VS. 自己実現
    2. 安定した仕事 VS. ベンチャー、起業
    3. より早く VS. より良く
    4. 高い付帯サービス付運賃 VS. 付帯をそぎ落とした安い運賃


     最後4の例なら、ローコスト対策を徹底的に打ち出したサウスウェスト航空に対し、同じようにローコスト対策を取り入れた、コンチネンタル航空(現在ユナイテッド航空に併合)がある。
     古い例だが、貴重なトレードオフ例である。
     インターネットで検索されればいくらでも出てきますが、私が書いたものは2006年2月の今月の言葉で紹介している。
     古い例で恐縮だが、企業レベルの歴史時間に耐えているものである。
     サウスウエスト航空は、ハブ経由をせずに、地方から地方へのポイント・ツー・ポイントの取り組みによりコストを構造的に下げている。
     また、ローコスト化のために航空機を1種類に限定し作業効率を上げる、パイロットも掃除するし、食事提供なし、座席指定なし、チケットレス等々…極限にまでサービスを絞り、安さを創りだしている。

     つまり戦略的ポジションの確立の為には、別のポジションとのトレードオフなしには維持できないものである。
     ある意味で相手の良い所どりする、要領をかます、仕事を省エネでごまかす人々は、トレードオフから逃げているのである。
     が、逃げ切れず、小さなパフォーマンスというより失敗しか残せないことになる。
     コンチネンタルは、根本的なトレードオフすることなしに安さ、つまり少しのサービスという戦略を取ったことにしかならず、結果的に吸収されるということになったのである。

     もっと分りやすい例は、ジョンソン・エンド・ジョンソン社のタイレノール事件への対応がある。
     圧倒的な売上を誇る看板商品のタイレノール(解熱鎮痛剤)を服用した人が、相次いで亡くなるという事件があった。
     その時ジョンソン・エンド・ジョンソン社は、タイレノールを回収すべきか、株主への配慮として様子を見るか迫られた。
     彼らの「我が信条」に、顧客優先がはっきり示されていた。
     そこでタイレノールを回収するという意思決定をした。
     損失額は1億$を上回るものであったが、実行された。(後日、何者かが瓶に毒物を混入したことが分った)
     この対応は、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の信頼を一層高め、株主にも評価されるものになった。

     このようにトレードオフは痛みを伴うが、しっかり正確な対応をすれば絶好のチャンスであることを忘れてはならない。
     このトレードオフの関係を多面的に整理し、絞り込んだターゲッティング決断を、私はエッセンシャル思考と呼びたい。
     この3月でH27年度も終了し、4月より新年度に入ります。
     みな様エッセンシャルして始めようではありませんか。

    理事長  井上 健雄

  • レジリエンスを鍛え2016に生きる

    レジリエンスという言葉が、静かに注目されつつある。
    強靭という意味で、不安な社会をしっかり生き抜く智慧のようなものだ。

    つまり今の世の中、激甚災害、地球温暖化大異変、テロそれに続く難民問題等々、不安の種は次々と出て大きくなる一方である。
    その上、中東分裂、EU亀裂、北朝鮮原発実験、中露の軍事膨張主義等々どれ一つとっても大クラッシュを引き起こす可能性がある。
    連鎖的に危機が拡大する可能性を抱えている。

    とすれば、私たち一人ひとりにとって自己の強靭さ、レジリエンスをしっかりつくってこの世に対処していかねばならない。
    そこで、レジリエンスを持って生き抜いた二人を辿る。

    一、アウシュヴィッツ生存者、ビクトール・E・フランクル。
    彼は日々の生存も、一日先のことなど全く見えない時に、日々を超えた大きな具体的な目標を描いたのである。
    『戦後、強制収容所で過ごした心理状態を人前で講演している自分を想像した』のである。
    どうしようもない状況にあっても、どうしようもない運命にあっても、自分の人生の意味を見い出せることを発見したのである。

    二、2001年9.11、世界貿易センターへのテロにおけるリック・レスコーラ。
    当時、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター(以下モルガン・スタンレー)は貿易センターの最大のテナントで、2700人もの人々が働いていた。
    それも南棟の43階から74階までの32階分まで使っていたのに、7人の従業員を失うだけですんだのである。
    これにはセキュリティ担当副社長のリック・レスコーラの果した役割が大きい。
    彼はベトナム戦争の退役軍人であり、勲章も受けた人物で、大災害に巻き込まれた時、人々がどう行動すべきかについて徹底的に訓練を課していたのである。
    職責からか、彼が7人の一人であったことは、大変残念なことである。
    しかし彼の業績は高い。
    モルガン・スタンレーは、職場が使えない時に備え、従業員が一堂に集まって執務できる予備オフィスを3つも確保していたのである。
    たぶん9月10日までは、心配しすぎの無駄金使いと呼ばれていたであろうが、9月12日以降は、天才になった。

    つまりレジリエンスの高い人とは、次の三つの能力を持っている。

    1. 現実をしっかり受け止める力
    2. 人生がどんな状況であれ、なんらかの意味があるという強い信念
    3. 超人的プリコラージュ(即興力)、臨機応変の才能

    私たちもこれらの順番どおりの理解をすることが求められている。
    最初からプリコラージュで始めると、本質的な解決につながらないだろう。
    2016年1月のありがとうを、厳しい現実に対し私たちのあるべきレジリエンスについて言及した。

    理事長  井上 健雄

  • 地域おこしを6次産業化で(4)

    価値あり競争力のある商品づくり

    - 10あるイノベーションの一を紹介します -
    - 6化研資料一部転載 -

    6化研では、6次産業化を成功させる為には、10のイノベーションが必要だと提案しています。
    今回は、イノベーションの1番目であるプロダクト・イノベーションを紹介します。

    価値あり競争力のある商品づくりとは、ある意味で今までの商品づくりを否定するものである。(勿論、何十年も同一商品でトップを走り続けている企業は別である…)
    イノベーション(革新)は現状否定をスタートとする。
    ヨーゼフ・シュンペーターのイノベーション5つの定義を嚆矢(こうし)とする。

    イノベーションとは 6化研メモ
    1.新しい財貨の生産 (今まで世の中になかったものを創りだす)
    2.新しい生産方法の導入 (新しいやり方で劇的に生産力を高めるとか、安全衛生基準を大幅クリアするとか…)
    3.新しい販売先の開拓 (日本国内だけから海外とか…)
    4.原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得 (各現場製造からカミサリーに移行とか、原料から最終商品までの協働プログラム作成など…)
    5.新しい組織の実現 (独占の形成やその打破、6次産業化により異なった産業との連携を創造する、フランチャイズシステム創造等)

     

    今回のレポートのタイトル『価値あり競争力のある商品づくり』とは、1の新しい財貨の生産と思われるかも知れないが、私はこの5つの定義のどれもが当てはまるものであるなら、それが最高のイノベーションであると考える。
    つまりプロダクト・イノベーションとは、全く新しいプロダクトを開発するだけでなく、価値を加えるアップデートや、ラインの拡大なども重要である。
    また、パフォーマンスを簡素化したり、環境感度を向上させたり、顧客一人ひとりに合わせたカスタマイズもイノベーションの一種である。

    そして私たちの提案する6次産業化は、次の3つの視点も大事にしている。

    1. 地域創生をベースに置く。
    2. モノづくりの新連携を形成する。
    3. 生産物の安全・安心とか機能性について、検査による客観的なエビデンスを持った数値や自己宣言を含む概念を重要視するものであり、それについて社会的な仕組みとなった評価枠組み、TPAC認証を受けることを推奨している。

    もう少し補足してみる。

    • プロダクト・イノベーションとは、今後地域の特色ある産物(着目されていないものも含む)を中心に展開されること。
    • 他産業や多くの企業群、そして地域の人々との新連携を形成すること。
    • 各所で同様の取組みがなされることも増える。従ってその生産物がレッドオーシャン※1化することもある。そこで、その生産物の価値・機能性の検査を受け、その内容の客観的評価を受けることで、ブルーオーシャン※2の世界に入ることを提案するものである。

    3つの企業のプロダクト・イノベーションを紹介し、参考に供したい。
    例えば、ダイソンならデュアル・サイクロン技術で世界を席捲しつつある。その背景には、市場に出すまで15年、5,000以上の試作品を作っているのだ。
    OXOグッドグリップスは、その名前どおり手の不自由な人、握力の衰えた人にも握りやすい使いやすいもの、ヤカンや計量カップ等々を作っている。ユーザーフレンドリーを表明し、価格の高い商品ではあるが、市場の評価を得ている。
    P&Gのパンパースは、布のおむつより紙のパンパースの方が早く眠りに入り、長い間眠れるという調査結果を出して、シェア拡大に成功している。

    サァ!私たちもこうした各企業の取り組みを参考に、プロダクト・イノベーションに挑戦しようじゃありませんか!
    青い海、ブルーオーシャンを目指しましょう。

    ※1 レッドオーシャン   : 競争の激しい既存市場
    血で血を洗う競争市場で儲けが出ない市場
    ※2 ブルーオーシャン: 競争相手のいない、競争のない未開拓の市場

    理事長  井上 健雄

     

  • 「農業は神に近い職業①」

    山上憶良、1538番で始めよう。

    芽の花(はぎの花) 尾花 葛花 瞿麦の花(なでしこの花)
    姫部志(おみなえし)また藤袴 朝顔の花     -山上憶良-

    これが俗に言う秋の7草となる。

     

    (Q一) 萩の花がなぜ草なんだと…(鋭敏な方は)
    (A)  確かにこれはマメ科の小低木である。
    しかし大事なのは、7草と表記しているが、7種(ななくさ)という意味を持つと考えられている。

    (Q二) なんで8種でないんだ!という人もいるだろう。(日本なら縁起のいいものは末広がりの8でしょうと)
    (A)  山上憶良(660-733)は、歌人であり、遣唐使 粟田真人の書記官として長安を訪れたりしている。
    中国において7は陽数であり、喜ばれたものである。
    そこで憶良が中国の乞巧奠に供える意を兼ねて7草としたのでありましょう。

    これのどこが6次産業化なんだ!と憤慨されている人も…
    まず6次の絵をうまく成立させる為には、自然に親しみ、植物について知識を持つ努力が必要です。
    だって農業って、神様に一番近い職業だと思ってます。
    大自然との共存の道なんですから。
    だから植物の性質を、まず大きな枠組みで理解することが大事である。
    そして、それぞれの植物がとる戦略を知ることが必要である。

    1510

    CSR戦略については、一度説明しているが、再説明を加えたい。
    C型;強い種は、コンペティティブ、戦いを選ぶC型となる。(図を参照ください)
    これらの代表がイネや野菜である。

    S型;弱い種は、環境に耐えるストレス・トレランス、ストレス耐性型というS戦略をとる。
    水の乏しい所のサボテン、高山植物などはS型となる。
    例えば、サボテンの葉は、水分の蒸発を防ぐ為に針となり、また水分を針にのせて少しでも温度を下げるように、たくさんの突起を出している。
    また、針(本当は葉)では光合成できないので、茎で光合成をしている。光合成の為にまん丸の茎まである。
    水が、不足する時は、根を成長させ、土の中の水をグリップしようとしている。
    なんと素晴らしい自衛の戦略でありませんか!
    耐えるとは、こういうことです。

    第3の型がR型、ルデラルと呼ばれる。
    荒野に生きる植物をいい、日本では攪乱耐性型とも言う。
    R型の典型は雑草である。
    みなさんは雑草は強いと思われるかも知れませんが、雑草はいい環境にいるとC型に負けるんです。
    悪い環境に強く、いい環境に弱いのが特徴です。ちょっと天邪久です。
    「やはり野に置け蓮華草」で、蓮華草を家で植えたって、原っぱほどの感動はありません。
    それぞれ居場所があるのです。
    やはりうまい組み合わせがポイントです。
    つまりC・S・R型に応じた栽培を考え、対処することが法則です。
    そして植物の光合成の能力により成長しやすい性質も着目です。

    一般的な植物は、C3回路で光合成します。炭素数3個の3ホスホグリセリン酸を持っています。
    一方、C4回路を持つ植物は、炭素数4個のオキサロ酢酸を生じます。
    これらの一部の比較をまとめました。

     

    C3 C4
    光利用効率 低い 高い
    最大生育速度 0.5-2g乾物重/dm2/day 4-5g乾物重/dm2/day
    生育最適温度 10-20℃ 30-47℃
    蒸散速度 450-950gH2O/g乾物重 250-350gH2O/g乾物重

     

    C4がいかに生育が早く、水持ちが良いかが分ります。
    その上、最適温度も高く、温暖化する地球にとって考慮すべき分類概念である。

    今述べたようなことは、植物情報量※の1015(千兆ペタ)分の1にも過ぎないでしょう。
    その上、機械技術やマーケッティング、プロモーション、ブランド等々情報量は、1018百京エクサの世界です。
    だから、みんなで智慧を出しあって、足らない所を補いあい勉強をし続ける6次産業化研究会を目指しているんです。
    こうした不可知の世界へ飛び込む。これってドン・キホーテです。
    私たち、新資源6次産業化研究会の活動の栞の表紙に、ドン・キホーテを使っているのはこうした思いからなんです。
    みな様、夢ある、智慧あるドン・キホーテご一緒しませんか。

    ※情報量の単位・読み方
    106:百万メガ 109:10億ギガ 1012:1兆テラ 1015:千兆ペタ 1018:百京エクサ

    理事長  井上 健雄

  • 「赤とんぼ」

    ♪ 夕焼け小焼けの赤とんぼ
    負われて見たのはいつの日か… ♪
    山の畑の桑の実を
    小籠に摘んだはまぼろしか… ♪

    過日、吉野で「森まなび塾。」を実施した際、赤とんぼの群舞を見た。
    私の好きな赤とんぼ。
    昔は捕虫網を持って追いかけたものです。
    最近は目で愛でながら、子供の頃の郷愁に入ります。
    でも少なくなったなぁと思います。
    なかなか叙情的でしょう…
    極楽トンボと言われる私。面目躍如です。

    彼・彼女らは全世界に5000種、日本には200種。
    大型のオニヤンマから15mmほどのイトトンボまで。
    私は、夏の終りから初秋にかけて飛ぶ赤とんぼ、アキアカネが好きです。
    この辺りからこむずかしくなります。
    このアキアカネは、排熱性能が弱いため、夏は山の上で避暑をし、涼しくなると平地に下りてくる。
    まだアキアカネさんは吉野の山にいるんだと、暑い夏を噛みしめました。
    一方で熱の保持能力の高い赤とんぼさんは、体温を大気温より10~15℃上昇させて、涼しくなった平地で喜び舞うのです。(本当は小さな虫を求めて飛んでいるのでしょう)

    とは言え、夕焼けに映える姿に霊性さえ感じさせる赤とんぼさんは、なぜ少なくなったのでしょう?
    原因は農薬らしい。
    蜜蜂に多大な被害を与えたネオニコチノイド系農薬のフィプロニル(稲を食べる害虫を殺す)を使った水田では、ヤゴは全く羽化しなかったのです。
    農薬について、ケースに応じて最低限の使用は必要であると思います。
    が、ネオニコチノイド系は禁止すべきです。

    ヤゴも育てず、草も生やさない田んぼや畑は不自然です。
    そんな自然に囲まれたら、人生は寂寞の一言です。
    農事の基本にこんな言葉があります。「春蒔き急ぐな!秋蒔き遅れるな」
    こんなお天道さんの教えに身を任す自然を守りたい。

    春蒔きは、少々遅れても作物が育ちますが、秋蒔きは、日照力が弱く適時が短いのです。
    仕事は、いつも秋蒔きなのかも知れない。
    タイミングに合う仕事をしっかり提供し、社会に少しでも良い変化を与えたいものです。
    仕事は、いつも秋蒔きであることを忘れない様に励みましょう。
    やはり、最後は叙情的から叙事的になってしまいました。とほほ…

    ※森まなび塾。(H27 9/19~9/20):
    吉野で森林保全やカーボンオフセットについて学ぶセミナーと、森林ボランティアや森林セラピー等の体験をする1泊2日のイー・ビーイングのオリジナル体験学習です。

    ※フィプロニル系農薬:

    EUでは、2013年の暮れから使用禁止に。日本ではネオニコチノイド系の使用巾を緩和するなど真逆の対応をしている。悪い決定である。

    理事長  井上 健雄