老年よ大志を抱け 【9月】

少し大袈裟なタイトルとなった。
でも、考えて欲しい。
2007年に生まれてくる子どもの半数が、百才超えをするというデータ※がある。
(例) ドイツ                102才
イギリス               103才
アメリカ、イタリア、フランス、カナダ 104才
日本                 107才
※Human Mortality Database, University of California, Berkeley (USA) and Max Planck Institute for Demographic Research (Germany). Available at www.mortality.org
今、80才の人は、昔の80才に比べるとずっと健康だし、2000年を過ぎて生まれた子どもたちの80才はもっと健康だろう。
人生は、 ①学業期 ②職業期 ③引退という3ステージから、近年は、①学業期 ②職業期 ③もう一つの職業期 ④引退という、4ステージ化している。
百才時代となると、長い時間を前にして、喜び勇んでいいのか、健康の心配をしなくていいのか、経済的に大丈夫かな…と不安に苛まれているのでしょうか。
今までよりプラス10~15以上生きられるのですから、マルチステージをしっかり熟(こな)せる能力が必要なんです。
こうした能力をつけるプログラムを私たちは開発し始めています。
(1)健康のための運動(注:フレイル予防を含む)運動こそ脳を鍛える
(2)医の知見 認知症は老化で起こる。60才で1%、75才で7%、85才で35%
イースト菌の長寿効果
(3)食の知見 孤食から縁食。野菜と果物そして、脂分の多い魚
(4)心の健康  協働の効果
(5)生物多様性の学びから食の基本となる農や、スマート農法の学習
すべての素材を活かす農のプレゼン
(6)高齢者も使えるテクノロジー・デジタル学習 デジタル使えば広がる知識、深まるグループ活動
私の老年とは、健康な時間を保つ為に、道路のそうじ、樹木の手入れ、子ども食堂などのボランティア等の社会課題解決をほんの少しの報酬で嬉々として活動する人と定義している。
私は、建築物なら、サグラダ・ファミリアを思い起こします。
1882年3月19日に着工し、現在まだ進行中です。
この10年前には、完成まであと300年といわれていました。
(今、建築技術の進歩と、IT(3Dプリンター、CAD、CAM)等々の技術の発展で、2026年の完成という予測が出ています…)
このように、壮大な時間が大聖堂を完成させるのです。
何十万㎡もある超大型複合施設でさえ、3~5年、あるいは20年の歳月もあれば完成です。
大聖堂とは次元が異なります。短い時間で完成するのは、短い寿命でしかありません。
人も、百才を生きて大聖堂になるのなら、長い研鑽と社会貢献活動が必要です。
あとは、「や・さ・し・さ」かな!
一緒に各自の「大聖堂」を創りませんか。
それには、変わることが必要です。腸管内部の上皮細胞なら、数か月で入れ替わります。皮膚は4週間、血液なら4か月、骨の細胞でさえ4年ですべてが入れ替わっているのですから。
死や衰えを招く病気の多くは、根底に細胞の老化があります。したがって入れ替え作戦がポイントです。
変わり続けることで生きているのです。
変わり続けることが命をビビッドに作ってくれるのです。
老人は変身の大志を抱くべきなんです。
マルチステージを楽しく生きる為に、多様性に満ちたネットワークこそ最高のソリューションです。
人生の探索者になりましょう。エクスプローラーは探索者という意味です。
その為に何でも冒険の旅に出ましょう。
今、私たちは高齢者のQOL向上;生きがい・健康活力のエンパワメントの研究活動に取り組み始めています。
大きな夢、やる気、社会貢献意欲のある方と一緒に、高齢者が百才まで健寿を保つプロジェクトを始めます。
サア、みなさん、エクスプローラーになり多様性に満ちたネットワーク活動、ご一緒しませんか!

理事長 井上健雄